新横浜駅から徒歩5分。「新横浜食料品センター」に旗艦店を構える『福耳キムチ』を、立地とクラウドファンディングから分析
神奈川県横浜市港北区篠原町2803-3、複合施設「新横浜食料品センター」1階(1-7区画)。新横浜駅篠原口から徒歩5分、駅からの直線距離は356メートル。板前歴16年の内藤加恵さんが手がける「和キムチ」ブランド「福耳キムチ」が、活動の拠点となる旗艦店を2026年9月にグランドオープンする予定です。2026年8月末に終了したクラウドファンディングでは初期目標を大きく上回る支援が集まり、店舗はいま「軒先でのプレオープン」という段階を歩んでいます。なぜこの場所が選ばれ、なぜ多くの支援者の心をつかんだのか。その背景を店舗立地研究所が分析します。
板前歴16年・内藤加恵さんが手がける「和キムチ」
クラウドファンディング支援総額126万円超・支援者123人
個人店が集まる複合施設「新横浜食料品センター」内
公開情報による独自分析
店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なる店舗紹介や格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、このお店が支持されるのか」を考えます。
公開情報をもとにした分析では、確認できた事実と店舗立地研究所による考察・提案を区別して掲載します。店舗への取材が実現した場合は、オーナーの声や現地で確認した情報を加えた「リアル店舗レポート」として、さらに詳しくご紹介します。
先に結論:「福耳キムチ」の最大の特徴は、単なるキムチ販売店の開業ではなく、「規格外食材を発酵の力で価値に変える」というアップサイクル事業のリアルな拠点づくりである点にあります。新横浜駅から徒歩5分という好立地でありながら、駅前の大型商業施設ではなく、個性的な個人店が集まる「新横浜食料品センター」という複合施設に入居したことも、単独出店とは異なる集客構造を持つ、この店ならではの強みだと言えるでしょう。完成を待たずに軒先で営業を続けるという段階的なオープン戦略、そしてクラウドファンディングという形で支援者を「仲間」として巻き込んでいくプロセス自体が、すでにこの店の物語の一部になっています。
福耳キムチは、神奈川県横浜市港北区篠原町2803-3にある複合施設「新横浜食料品センター」の1階(1-7区画)に旗艦店を構える、和キムチの専門店です。運営するのは、板前歴16年の調理師・内藤加恵さんと、夫であり株式会社Dプラン代表取締役の内藤大輔さんの2人。福岡県糸島市出身の内藤加恵さんは、実家が寿司屋という環境で育ち、調理師学校卒業後は福岡の料亭や上京後の日本料理店で約16年にわたり板前として修行を積んできました。商品開発の仕事を通じて農家や生産者から「規格外野菜を活用できないか」という相談を数多く受けたことがきっかけとなり、和食の技術と発酵の力を組み合わせた「和キムチ」という独自のジャンルを生み出し、「福耳キムチ」ブランドとして展開してきました。
これまで埼玉の深谷ねぎだれキムチ、秩父のきゅうりキムチ、沖縄の島らっきょキムチ、静岡の金目鯛キムチ漬け、鳥取の香箱蟹キムチ、愛知の赤味噌キムチ、長野の山葵の葉酒粕キムチなど、全国各地の食材を使ったキムチを100種類以上開発し、新横浜の店舗を拠点にしつつ、新宿小田急や銀座松屋、溝の口マルイといった都心の百貨店催事にも精力的に出店してきました。今回のクラウドファンディングは、これまでECや催事中心だった活動に、初めての常設拠点=旗艦店を新横浜に構えるための挑戦であり、食べログの店舗情報によれば所在地は「新横浜食料品センター1-7」、ジャンルは「韓国料理、惣菜・デリ」として登録されています。
「食材を切って漬けるキムチであれば、形や大きさなどは関係ないし、何より食べて美味しい。そして、食べることで健康にもつながる。これなら、生産者も、作り手も、食べる人も、みんなが笑顔になる事業になると思ったことが原点です。」
――内藤加恵さん(Vlag yokohama公式note「全国キムチ化計画 横浜編!」インタビューより)
- 店舗名
- 福耳キムチ(旗艦店)
- 所在地
- 神奈川県横浜市港北区篠原町2803-3 新横浜食料品センター 1階(1-7区画)
- 運営
- 内藤加恵さん(キムチプロデューサー・板前歴16年)/内藤大輔さん(株式会社Dプラン代表取締役)
- 屋号・事業
- 福耳キムチ/「全国キムチ化計画」の拠点として展開
- 現在の状況
- 店舗は建設中・軒先にてプレオープン中(2026年8月時点)
- グランドオープン予定
- 2026年9月(クラウドファンディングのスケジュールによる予定)
- 業態
- 和キムチ専門店(韓国料理・惣菜デリ区分)
- 主な販路
- 新横浜旗艦店(プレオープン中)/公式オンラインショップ(fukukim.com)/新宿小田急・銀座松屋・溝の口マルイ等での催事出店
- クラウドファンディング
- CAMPFIRE「念願の実店舗!!ここからキムチで日本を元気にする!!」支援総額1,263,277円・支援者123人・ネクストゴール300万円(2026年8月31日終了)
- 公式サイト
- fukumimijirushi.com
- 公式Instagram
- @fukumimi.kimuchi
- 入居施設
- 新横浜食料品センター(snfc.jp)
内藤加恵さんは小学生の頃、祖母の勧めで育てた里芋が「市場の規格に合わない」という理由でほとんど値段がつかなかった経験を、クラウドファンディングページで詳細に語っています。この幼少期の悔しさが、規格外食材をキムチにアップサイクルする「全国キムチ化計画」の原点として一貫して語られており、単なる商品説明にとどまらない、共感を呼ぶストーリー設計になっています。
国産ふじりんごの甘み、いりこと鰹節の出汁、アミエビの発酵によるコクなど、和食の下処理技術を掛け合わせた独自の製法により、「辛いだけではない」キムチを作り上げています。これまでに100種類以上のご当地キムチを開発してきた実績は、単発の商品開発ではなく、継続的なものづくりの土台があることを示しています。
店舗の内外装が完成していない段階から、新横浜の店先で継続的に営業を行い、地域住民との接点をつくり続けている点が特徴的です。支援者コメントにも「先日たまたま新横からチャリで帰る時にお店を発見し買わせてもらいファンになりました」という声があり、完成前から関係性を積み重ねる段階的なオープン戦略が、すでに機能していることがうかがえます。
福耳キムチが旗艦店を構える新横浜食料品センターは、新横浜駅から徒歩5分という交通利便性の高さを持ちながら、駅前の賑わいとは反対側にある閑静な住宅街の中に位置しています。新横浜駅は東海道新幹線の停車駅であり、東急新横浜線・相鉄新横浜線の開業(2023年3月)以降、乗降人員が大きく伸びているエリアです。東急電鉄の公表資料によれば、2024年度の新横浜駅(東急新横浜線)の1日平均乗降人員は87,976人で、前年度比23.1%増という高い伸びを記録しており、新横浜エリア全体の交通結節点としての重要性が増しています。一方、JR横浜線の新横浜駅は2023年度の1日平均乗車人員が47,580人(前年度比7.5%減)となっており、路線間で利用動向に違いが見られる点も、このエリアの過渡期的な性格を示しています。
| 新横浜エリアの特性 | 公開情報 | 福耳キムチへの読み替え |
|---|---|---|
| 新横浜駅(東急新横浜線)の乗降人員 | 1日平均87,976人・前年度比+23.1%(東急電鉄2024年度) | 新横浜線開業後、駅としての存在感・利用者数が急速に拡大中。 |
| 新横浜駅(JR横浜線)の乗車人員 | 1日平均47,580人・前年度比△7.5%(JR東日本2023年度) | 路線間で利用動向に差があり、駅全体としては過渡期にある。 |
| 入居施設の立地 | 駅前の商業集積エリアとは反対側の閑静な住宅街(新横浜食料品センター) | 通行量に依存せず、施設自体の目的地性で集客する構造。 |
| 施設の成り立ち | 老朽化した食料品店を建て替え・改修し、既存棟1Fに新規で「キムチ屋」が入居 | 単独出店ではなく、施設全体のブランド力を土台にした出店。 |
※駅別数値は東急電鉄・JR東日本の公表資料を基礎として整理したものです。統計項目により調査時点・調査方法・路線区分が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。
福耳キムチの立地を語る上で欠かせないのが、入居先である「新横浜食料品センター」という施設そのものの特殊性です。この施設は、建築設計事務所ウミネコアーキの若林拓哉氏が企画・設計・運営までを一貫して手がけるプロジェクトで、もともと若林家が代々地主として所有していた土地にあった食料品店を、老朽化対応として一部建て替え・一部耐震改修する形で再構成したものです。ウェブメディアの取材記事によれば、既存建物の1階には改修以前から営業を続けている青果店(杉田青果)に加えて「新規でキムチ屋が入居」しており、福耳キムチはこの施設のリニューアルにあたって新たに加わったテナントであることが確認できます。「近隣にはスーパーやコンビニしかなく、個人の商店がない」という地域課題に対し、「地域のダイニングキッチン」をコンセプトに、カフェバー、パン屋(Proof Bakery)、青果店、コモンキッチン、民間図書館など、個性豊かな個人店が集まる場所として設計されています。
この施設のもう一つの特色は、テナント同士の距離の近さと日常的な交流です。月に一度、若林氏を交えたテナント間の定例ミーティングが開かれ、清掃分担や困りごとの相談に加え、賞味期限の近い商品を分け合うといった協力関係が築かれているといいます。福耳キムチにとっても、単独で商圏を切り拓くのではなく、施設全体のブランド力や「はしごして回る」常連客の存在を土台にした出店であることは、初めての常設拠点づくりにおける一つの安心材料になっていると見ることができます。
福耳キムチの旗艦店開業は、単なる新規出店ではなく、「キムチ屋をつくることではなく、地域の食材、生産者、食べる人がつながるアップサイクルキムチの基地をつくる」という理念のもとで進められています。クラウドファンディングページに記載されたスケジュールによれば、2026年7月中旬にキムチの作業場が完成し、8月31日にクラウドファンディングが終了、9月に外装工事を経て新店舗のグランドオープンを予定しており、9月中旬からリターンの発送も順次進められる計画になっています。プロジェクトは初期目標を大きく上回り、支援総額1,263,277円、支援者数123人に到達したのち、追加でネクストゴール300万円への挑戦も行われました。
この過程には、横浜の事業共創施設「Vlag yokohama」が主催する共創プログラム「MEBUKU」第2期(2026年1月キックオフ)への参加という背景もあります。内藤加恵さんは3ヶ月間のメンタリングやピッチを経て優秀賞を受賞しており、「料理人でピッチも資料作りも得意ではない」と振り返るように、本業の調理技術に加えて事業としての言語化にも挑戦してきた経緯がうかがえます。並行して、新横浜の店舗は「軒先でプレオープン中」という状態を続けながら、新宿小田急、銀座松屋、溝の口マルイといった都心の百貨店催事にも積極的に出店を続けており、支援者コメントには「いつも溝の口でキムチ買わせてもらっている子連れの者です」「松屋銀座のご出店もお待ちしています」といった声も見られます。つまり、新横浜という固定拠点の完成を待つ間も、都心催事という接点でファンとの関係を維持し続けている点が、このブランドの支持基盤の広さを支えていると分析できます。
ここからは、店舗の現在の顧客構成や実施状況を確認したものではなく、公開情報とブランドの活動傾向、エリア特性から考えられる今後の可能性です。すでに実施されている取組が含まれる可能性があります。
東急新横浜線・相鉄新横浜線の開業以降、新横浜駅の乗降人員は前年度比23.1%増という高い伸びを記録しています。これは沿線人口が直接キムチ需要と結びつくものではありませんが、駅の利用者数が増えている局面にあることは、通りすがりや乗り換えの合間に立ち寄る新規顧客層との接点が広がる可能性を示唆しています。
新宿小田急、銀座松屋、溝の口マルイなど、これまでの催事出店で獲得してきた顧客層は、主に都心部に足を運ぶ層です。この既存顧客に対して、新横浜旗艦店のグランドオープンを丁寧に告知し、実際に足を運んでもらう動機づけ(限定商品の発表や、来店特典の設計など)を行うことで、催事で得た顧客基盤を新しい拠点へつなげていける可能性があります。
クラウドファンディングページでは、旗艦店を「うちの地域の食材もキムチにできる?」と生産者が訪ねてこられる場所にしたいという構想が語られています。実店舗という常設の拠点ができることで、これまでオンラインや催事場だけでは築きにくかった、生産者との直接的な関係構築がより進む可能性があります。
完成を待たずに軒先で営業を続けているという現状は、通常であれば「未完成」というネガティブな印象を持たれかねない状態です。しかし、内装が仕上がっていく過程や、外装工事の進捗を公式Instagramなどで継続的に発信していくことで、グランドオープンを「一緒に見守る」体験として楽しんでもらう、ストーリー性のある発信につなげられる可能性があります。
これまでに開発してきた100種類以上のご当地キムチの背景にある生産者のエピソードは、催事という短期的な接点では伝えきれない部分もあったと考えられます。常設の旗艦店という場を得たことで、食材や生産者のストーリーをパネルや試食を通じて伝える展示など、時間をかけたコンテンツを展開できる可能性が広がっています。
クラウドファンディングを経て常設拠点を構えるというフェーズには、開業直後の店舗特有の経営上の検討点もあります。以下は福耳キムチが現在必要としている、または各制度を利用できると判断したものではありません。同様の業態を営む店主にとっての一般的な選択肢です。
123人の支援者は、単なる購入者ではなく「全国キムチ化計画の仲間」として関わってくれた人たちです。グランドオープン後も活動報告やリターン発送の進捗を丁寧に伝え続けることが、支援者を継続的な来店客・発信者に育てていくうえでの重要な土台になると考えられます。
これまで百貨店催事に足を運んでいた顧客層と、旗艦店を構えた新横浜という立地で新たに獲得しうる顧客層(地域住民、施設目当ての来訪者、駅利用者など)は、必ずしも重なるとは限りません。両者それぞれに合わせた発信や来店動機づけを設計していくことが、旗艦店運営を安定させていくうえでの一つの検討課題だと考えられます。
クラウドファンディングのリターンには、通常業務用として扱っているキムチ醬の一般向け提供や、キムチ仕込み体験といった、直接手を動かす体験型のリターンが用意されていました。旗艦店という常設の場を得たことで、こうした体験コンテンツを定期的なワークショップとして展開していく余地があると考えられます。
補助金は、採択や交付決定が約束されるものではなく、申請前に契約・発注・支払いをすると対象外になる制度もあります。まず事業の課題と必要な投資を整理し、その後に対象制度、公募期間、補助対象経費を確認する順番が重要です。2026年8月時点では、小規模事業者の販路開拓等を支援する小規模事業者持続化補助金(創業型を含む)、横浜市が実施する小規模事業者店舗改修助成事業などがあります。募集期間、予算残額、対象経費などは変わるため、必ず申請時点の公式情報を確認する必要があります。
福耳キムチの強さは、板前としての16年の技術的な裏付けと、幼少期の里芋の経験に根ざした「もったいない」への一貫した問いかけ、そして123人の支援者に支えられたクラウドファンディングの成果そのものにあります。新横浜駅という交通利便性の高い場所にありながら、静かな住宅街に位置する「新横浜食料品センター」という個性的な複合施設に入居したことは、単独出店とは異なる集客の後押しを得られる選択だったと考えられます。完成を待たずに軒先で営業を続けながら、都心の百貨店催事という接点も並行して維持してきたブランドが、9月のグランドオープンを経てどのような形で地域と生産者をつなぐ拠点になっていくのか、今後の展開は注目に値するテーマだと言えるでしょう。
店舗立地研究所では、飲食店、物販店、雑貨・食品ブランド、美容サロン、パーソナルジムなど、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。
掲載・取材をご希望の店舗様は、公式LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。店舗の出店・移転・商圏分析、事業計画、資金調達、補助金活用、集客、省力化のご相談についても対応しております。
- CAMPFIRE「念願の実店舗!!ここからキムチで日本を元気にする!!」プロジェクトページ(創業ストーリー、事業モデル、スケジュール、リターン内容)
- CAMPFIRE 同プロジェクト「支援者一覧」ページ(支援総額、支援者数、支援者コメント)
- 公式サイト「福耳キムチ」トップページ(商品コンセプト、使用食材、企業情報)
- 食べログ「福耳キムチ(新横浜/韓国料理)」店舗情報(所在地、ジャンル、営業条件)
- Vlag yokohama公式note「地域がつながる。横浜からはじまる『全国キムチ化計画』」(MEBUKU参加背景、内藤加恵さんインタビュー)
- 福耳キムチ公式Instagram(@fukumimi.kimuchi)(プレオープン状況、催事出店スケジュール)
- 福耳キムチ公式Threads「クラウドファンディング目標達成報告」(ネクストゴール挑戦の経緯)
- 新横浜食料品センター公式サイト(snfc.jp)1階テナント一覧(施設内の入居店舗情報)
- getnews「新横浜駅徒歩10分の住宅街に、個人商店が集まる食の拠点がオープン」(施設の企画・設計背景、既存棟への新規テナント入居経緯、若林拓哉氏インタビュー)
- 新横浜新聞「<東急の乗降人員>新横浜駅が23%増の8.7万人超」(新横浜駅・東急新横浜線の乗降人員データ)
- 新横浜新聞「<JR東日本の乗車人員>新横浜・菊名・羽沢で減少」(JR横浜線新横浜駅の乗車人員データ)
- 福耳キムチ 公式オンラインショップ(fukukim.com)(商品ラインナップ、ご当地キムチの開発事例)

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