東急田園都市線・東京側7駅の出店立地比較
東急田園都市線の東京側で出店するならどの駅?渋谷・池尻大橋・三軒茶屋・駒沢大学・桜新町・用賀・二子玉川を業種別に比較
同じ田園都市線でも、渋谷の広域来街型、三軒茶屋の高密度住宅・夕夜間型、用賀の住宅・就業者混合型、二子玉川の大型商業施設型では、売上が生まれる仕組みが異なります。店舗立地研究所の駅別1km商圏データを基準に、顧客属性、時間帯、導線、競合、物件条件を組み合わせて比較します。
- 新規集客型・地域リピート型・予約型に向く駅の違い
- 平日昼、帰宅時間、夜間、休日で強い駅と導線
- 飲食、美容、整体・リラクゼーション、ジム、学習塾、小売の候補駅
- 1階路面、空中階、商業施設、住宅地物件の成立条件
- 物件を申し込む前に進める・見送る条件を整理する方法
結論:駅の規模ではなく、売上のつくり方に合う商圏を選ぶ
最初に候補を絞るなら、この考え方です
- 広域から新規客を集める業態は、渋谷を検討候補にできます。ただし、出口・街区・階数で人流が分断されるため、「渋谷駅徒歩圏」だけでは判断できません。保守売上で固定費を負担できる集客装置と運営体制が前提です。
- 外食・夜間需要と地域リピートの両立を狙うなら、三軒茶屋を検証します。駅前通行量だけでなく、茶沢通りや世田谷通り、住宅地へ帰る方向別の客層を確認します。
- 予約型サービスや専門店は、池尻大橋を候補にできます。店舗立地研究所の2023年所得推計は高所得世帯の存在を示しますが、許容単価や来店意思を直接示しません。検索・紹介・SNSで目的来店を作れるかを確認します。
- スポーツ、健康、ペット、休日利用と結び付けるなら、駒沢大学を検証します。公園の存在だけで需要を断定せず、駒沢オリンピック公園方面の実導線上にあるかを確認します。
- ファミリー向け生活サービスは、桜新町を候補にできます。所得・持ち家構成だけで需要を決めず、美容、クリニック、塾、惣菜などの対象顧客と現在の競合を確認します。
- 平日就業者と住宅需要を組み合わせるなら、用賀を検証します。2015年の昼夜人口はほぼ均衡していますが、2026年現在の物件前人流とは異なります。駅・オフィス側、商店街、砧公園方面を分けます。
- 施設来館者と住宅側需要を分けて設計するなら、二子玉川を候補にできます。東口の二子玉川ライズ側、西口の玉川高島屋側、住宅地側を同じ商圏として扱わないことが重要です。
渋谷、二子玉川。施設・街区の集客に乗れる一方、賃料と競合負担を回収できる売上計画が必要です。
三軒茶屋、桜新町、用賀。帰宅導線と日常利用の頻度を重視し、駅前以外も比較します。
池尻大橋、駒沢大学、桜新町、用賀。1階に固執せず、入口と看板が分かりやすい空中階も候補です。
出店判断サマリー
| 駅 | 商圏タイプ・顧客仮説 | 強み | 弱み・注意業態 | 有望な立地候補 | 最大のリスク/現地確認 | 条件付き評価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 渋谷 | 広域来街・就業・買物混在/新規・目的来店 | 2025年度田園都市線乗降619,956人。街区ごとに異なる大きな人流 | 低単価・低回転、小規模事業者の高固定費物件は注意 | 対象客の目的地と同じ出口・街区 | 乗換・通過を店前人流と誤認しない。平日・休日、出口別に計測 | 街区別の集客根拠と保守採算がある場合に候補 |
| 池尻大橋 | 住宅・就業混在/予約、専門、地域リピート | 1人世帯57.4%(2020年)、年収700万円以上39.2%(2023年推計) | 飛び込み依存、広い低単価店舗は注意 | 住宅方向の小型路面・入口が分かる空中階 | 国道246号横断、渋谷・中目黒方面への流出、支払意思を確認 | 目的来店と小規模採算を作れる場合に候補 |
| 三軒茶屋 | 高密度居住・商店街/夕夜間、地域リピート | 人口74,419人、1人世帯62.5%(ともに2020年) | 競合との差が価格だけの飲食・サービスは注意 | 茶沢通り・世田谷通りから住宅へ分かれる導線 | 国道246号、地下出口、昼夜で変わる通りの客層を確認 | 再来店理由と通り別の顧客像が明確なら候補 |
| 駒沢大学 | 住宅・公園近接/健康、ペット、専門サービス | 公園方向という駅固有の検証軸がある | 公園来訪者だけに依存する大型店、駐輪不可は注意 | 駅から公園への実動線、住宅側の予約型物件 | 公開ページだけでは同条件の2020年人口を確定できず、現地人流も要調査 | 公園客と地元会員の両方を検証できる場合に候補 |
| 桜新町 | 定住住宅/ファミリー、定期利用 | 人口58,904人、1人世帯48.0%(ともに2020年) | 低頻度の衝動買い、夜間繁華街需要狙いは注意 | 商店街・学校・住宅を結ぶ生活導線 | 所得推計を需要と決めつけず、競合・駐輪・近隣配慮を確認 | 信頼と継続利用を作れる場合に候補 |
| 用賀 | 住宅・就業混在/昼夜二毛作、生活サービス | 人口51,079人(2020年)。2015年は昼夜人口がほぼ均衡 | 一つの販促で就業者と住宅客の両方を狙う計画は注意 | 駅北側、商店街、砧公園方向を顧客別に選択 | 2015年昼夜構造が現在も同じか、物件前で再確認 | 時間帯別に商品・人員を切り替えられる場合に候補 |
| 二子玉川 | 大型商業・住宅併存/休日来街、ファミリー、予約 | 人口38,252人(2020年)と大型商業施設が併存 | 施設来館者依存、高固定費、平日根拠の弱い店舗は注意 | 施設内、駅周辺、住宅側を別採算で比較 | 東西の施設回遊、住宅方向、雨天・平日の人流を確認 | 施設客か地域会員かを明確にできる場合に候補 |
基本データ:同じ年度・定義ごとに分けて比較する
2025年度の田園都市線1日平均乗降人員
東急電鉄が2026年6月23日に更新した2025年度資料は、各駅について定期・定期外・計を掲載しています。下表はすべて同じ「2025年度・田園都市線・1日平均乗降人員」の計です。
| 駅 | 定期 | 定期外 | 計 | 検算 | 店舗立地での注意 |
|---|---|---|---|---|---|
| 渋谷 | 379,544人 | 240,412人 | 619,956人 | 379,544+240,412=619,956 | 他社線との乗換・直通通過を含み、街へ出る人数ではない |
| 池尻大橋 | 35,832人 | 28,464人 | 64,296人 | 35,832+28,464=64,296 | 国道246号の左右と出口別に店前人流を確認 |
| 三軒茶屋 | 73,848人 | 67,817人 | 141,665人 | 73,848+67,817=141,665 | 世田谷線・地下出口・住宅方向を分ける |
| 駒沢大学 | 45,538人 | 32,249人 | 77,787人 | 45,538+32,249=77,787 | 公園へ向かう人と住宅へ帰る人を分ける |
| 桜新町 | 41,490人 | 28,608人 | 70,098人 | 41,490+28,608=70,098 | 商店街・弦巻・深沢方向の生活導線を確認 |
| 用賀 | 35,868人 | 31,810人 | 67,678人 | 35,868+31,810=67,678 | オフィス側と住宅・砧公園方向を分ける |
| 二子玉川 | 42,640人 | 48,958人 | 91,598人 | 42,640+48,958=91,598 | 田園都市線の数値。大井町線52,712人を単純合算しない |
東急電鉄の注記では、自線内の相互乗換人員は原則除外し、他社線との相互乗換人員と相互直通運転による通過人員を含みます。したがって、乗降人員を店舗前通行量や実来街者数へ置き換えることはできません。
店舗立地研究所の1km商圏データ:2020年の居住人口・世帯構成
| 駅 | 人口総数 | 1人世帯 | 世帯総数 | 再計算した1人世帯比率 | 掲載判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| 渋谷 | 33,489人 | 14,067世帯 | 21,070世帯 | 66.8% | 2020年値として比較可能 |
| 池尻大橋 | 掲載ページで2020年人口総数を確認できず | 20,867世帯 | 36,375世帯 | 57.4% | 世帯構成のみ2020年値として使用 |
| 三軒茶屋 | 74,419人 | 27,832世帯 | 44,514世帯 | 62.5% | 2020年値として比較可能 |
| 駒沢大学 | 同一条件の確定値を確認できず | 推計幅のみのため不使用 | 推計値のみのため不使用 | 掲載しない | 数値比較の対象外。個別データ取得が必要 |
| 桜新町 | 58,904人 | 14,325世帯 | 29,848世帯 | 48.0% | 2020年値として比較可能 |
| 用賀 | 51,079人 | 11,741世帯 | 25,230世帯 | 46.5% | 2020年値として比較可能 |
| 二子玉川 | 38,252人 | 同一条件の確定値を掲載しない | 元ページの時点表記が混在するため不使用 | 掲載しない | 人口のみ2020年値として使用 |
比率は1人世帯÷世帯総数×100で再計算し、小数第2位を四捨五入しました。人口総数と世帯総数は別の統計表であり、人口を世帯数で割った値ではありません。池尻大橋と駒沢大学は、公開ページだけでは7駅を同じ2020年人口総数で並べられないため、推測で補完していません。二子玉川は2020年人口を掲載する一方、世帯データの時点表記が元ページ内で混在するため、2020年世帯比較から除外しました。
昼間人口・商業人口は年度を分けて参考利用する
店舗立地研究所の各駅ページには、2015年の昼間人口や2021年の経済センサス等を基にした推計商業人口が掲載されています。これらは、就業流入や商業集積の構造を考える参考値ですが、2020年居住人口と同一時点の「来街倍率」として順位付けしません。渋谷の2015年昼間人口268,843人、三軒茶屋の2015年昼間人口59,195人、用賀の2015年昼間人口47,510人、二子玉川の2015年昼間人口31,574人などは、必ず年度を付けて個別に使用します。
詳細な人口、世帯、所得、競合の根拠は、店舗立地研究所の東急田園都市線・駅別商圏レポートで確認できます。
駅ごとの商圏・主要導線・出店条件
渋谷:最大の人流ではなく、狙う街区を先に決める
確認済み事実:渋谷駅1km商圏レポートでは、2020年人口33,489人に対し、2015年昼間人口268,843人、2021年飲食店1,741店が掲載されています。年度は異なりますが、居住地だけでなく就業・買物・娯楽など複数目的が重なる駅であることを考える材料になります。
分析・仮説:道玄坂・宇田川町、宮益坂・渋谷二丁目、桜丘、神南では、客層とピーク時間が異なるため、駅距離より「どの出口から、どの目的地へ向かう人が、店舗入口の前を通るか」を調べます。渋谷区の公表資料でも駅中心地区の再開発が続いています。工事・歩行者ネットワークの変更を踏まえ、現在の人流だけで長期契約を判断しません。
池尻大橋:高所得住宅と都心近接を、目的来店へ変えられるか
確認済み事実:池尻大橋駅1km商圏レポートでは、1人世帯20,867世帯・57.4%(2020年)、年収700万円以上39.2%(2023年推計)が掲載されています。所得推計は許容単価や特定サービスへの支出意思を直接示す数字ではありません。
分析・仮説:予約型・専門型の可能性を検証する場合も、国道246号沿い、目黒川・大橋側、池尻・三宿・世田谷公園方面を分けます。2026年8月開業予定の複合施設「ECLINE ikejiri ohashi」は公式発表で確認できますが、施設来訪者が候補物件前まで回遊するかは現地調査が必要です。
三軒茶屋:駅前のにぎわいと住宅地リピートを両立しやすい
確認済み事実:三軒茶屋駅1km商圏レポートでは、2020年人口74,419人、1人世帯27,832世帯・62.5%、2021年飲食店403店が掲載されています。飲食店数には業態・価格・営業時間の違いがあるため、現在の直接競合数とはみなしません。
分析・仮説:国道246号、世田谷通り、茶沢通り、キャロットタワー周辺、駅裏の飲食街では、昼夜・曜日で人流が変わります。飲食店は夜間の回遊と入店しやすさ、美容・整体は住宅地へ帰る導線と予約導線を調べます。深夜のにぎわいが強い通りでも、昼型サービスには合わない場合があります。
駒沢大学:公園カルチャーと住宅需要を結ぶ立地を選ぶ
確認済み事実:駒沢大学駅1km商圏レポートには人口・世帯・所得の推計幅がありますが、7駅を同じ2020年条件で直接比較できる確定値は公開ページだけでは確認できません。本記事では、その推計値をランキングや需要量の根拠に使用しません。
分析・仮説:スポーツ、ペット、健康、カフェなどを検討する場合は、駒沢オリンピック公園の来訪者が候補物件前を通るかを確認します。駅から公園への徒歩ルート、国道246号の横断、自転車動線に加え、着替え、シャワー、駐輪、床荷重、音、営業時間を物件ごとに調べます。
桜新町:高所得ファミリーの信頼を積み上げる生活商圏
確認済み事実:桜新町駅1km商圏レポートでは、2020年人口58,904人です。住居形態が判別できる29,577世帯のうち、持ち家は15,060世帯で、15,060÷29,577=50.9%です。また、2023年推計で年収700万円以上は35.7%です。これらは地域の構成を示しますが、特定業態の利用率を示しません。
分析・仮説:美容、医療、教育、惣菜、フィットネスなどの継続需要は、現在の競合と対象顧客を確認して検証します。サザエさん通り、桜新町商店街、弦巻・深沢方面を分け、子どもの送迎、買物、自転車、夕方の帰宅が候補物件前で交差するかを調べます。東急電鉄公式では、桜新町を含む地下5駅のリニューアル計画が確認できます。
用賀:平日昼と住宅需要を両方取れるが、ゾーン選択が重要
確認済み事実:用賀駅1km商圏レポートでは、2020年人口51,079人・1人世帯11,741世帯、2015年昼間人口47,510人・夜間人口47,850人です。昼夜比47,510÷47,850=0.993で、2015年時点ではほぼ均衡しています。
分析・仮説:駅北側のオフィス近接、用賀商店街、用賀中町通り、砧公園方面では、昼食、帰宅、休日レジャーの比重が違う可能性があります。平日ランチは昼の就業者導線、塾や美容は夕方の住宅導線、スポーツ関連は公園方向と駐輪条件を現地確認します。2015年の構造が2026年現在も同じとは限りません。
二子玉川:大型商業施設の集客と住宅商圏を分けて考える
確認済み事実:二子玉川駅1km商圏レポートでは、2020年人口38,252人、2023年推計で年収700万円以上6,820世帯・34.8%です。二子玉川ライズS.C.と玉川高島屋S.C.が駅周辺に立地しますが、施設来館者数と路面店の店前人流は別の指標です。
分析・仮説:東口のライズ側、西口の高島屋側、住宅地側では、施設回遊と日常客の導線を分けて調べます。施設近接物件では館内競合・区画条件・固定費、住宅地側では検索・予約・地域リピートを確認します。大型施設があることだけで候補物件への流入を断定しません。
平日・休日、昼・夜で向く駅は変わる
| 需要時間 | 候補駅 | 想定客 | 現地で見るポイント |
|---|---|---|---|
| 平日昼 | 渋谷、用賀、池尻大橋 | 就業者、学生、近隣居住者 | 12時前後の進行方向、テイクアウト待機場所、雨天時の動線 |
| 平日夕方 | 三軒茶屋、桜新町、用賀、二子玉川 | 帰宅者、送迎中の保護者、買物客 | 改札から住宅地へ帰る側、駐輪、ベビーカー、短時間利用 |
| 平日夜 | 渋谷、三軒茶屋、池尻大橋、駒沢大学 | 仕事帰り、外食、予約サービス | 終業後の人流、女性の安心感、看板照度、最終受付時刻 |
| 休日昼 | 二子玉川、駒沢大学、桜新町、用賀 | ファミリー、カップル、公園利用者 | 滞在時間、ベビーカー、駐車・駐輪、イベントの影響 |
| 休日夜 | 渋谷、三軒茶屋、池尻大橋 | 外食・娯楽目的客、地域居住者 | 曜日別閉店時刻、二軒目需要、騒音・ごみ出しルール |
業種別に見る候補駅
| 業種・経営モデル | 検証候補にしやすい駅 | 成立条件 | 慎重に見る点 |
|---|---|---|---|
| 飲食店 広域・高回転型 |
渋谷、二子玉川 | 商品認知、回転率、複数人運営、施設・街区導線 | 高固定費、施設内競合、曜日変動 |
| 飲食店 地域・夜型 |
三軒茶屋、池尻大橋 | 再来店、明確なコンセプト、夜の入口視認性 | 競合差別化、臭い、排気、ごみ、深夜営業 |
| 美容サロン | 池尻大橋、三軒茶屋、桜新町、用賀 | 予約比率が高い、再来周期を設計、上階でも入口が分かる | 給排水、電気容量、スタッフ採用、女性の夜間導線 |
| 整体・リラクゼーション | 用賀、駒沢大学、桜新町、三軒茶屋 | 住宅・勤務客の継続、健康またはスポーツ分野の専門性 | 競合との差、エレベーター、音、ベッド数と採算 |
| パーソナルジム・ヨガ | 駒沢大学、用賀、池尻大橋 | 会員商圏、通勤・公園動線、予約運営 | 床荷重、振動、騒音、シャワー、早朝夜間利用 |
| 学習塾・子ども向け教室 | 桜新町、用賀、二子玉川 | ファミリー居住、学校・送迎・自転車動線、夕方の安全 | 駐輪、保護者待機、用途、避難、同一建物の他テナント |
| 小売・物販 | 渋谷、二子玉川、三軒茶屋 | 広域集客または日常購買のどちらを取るか明確 | ECとの差別化、在庫・搬入、施設回遊が店前へ届くか |
| クリニック | 桜新町、用賀、二子玉川 | 診療圏、専門科、バリアフリー、長期居住者の需要 | 医療圏競合、用途・設備・行政手続は専門家確認が必須 |
駅が合っていても、客単価、来店頻度、予約比率によって、候補にすべき物件階数と許容賃料は変わります。予約型業態の空中階適性は、1階路面と2階以上の店舗物件比較もあわせて確認してください。
家賃・競合・物件タイプをどう比較するか
賃料は「相場」ではなく候補物件の総固定費で判断する
同じ駅でも、1階路面、空中階、商業施設、住宅地、駅からの方向で賃料は大きく変わります。公開募集の平均坪単価は物件面積、階数、募集時期がそろっていないため、駅同士の採算を確定する数字にはできません。候補物件ごとに、賃料、共益費、看板料、販促費、歩合賃料、保証料、更新料、開業前賃料を合算してください。
1階路面と2階以上の成立条件
| 物件タイプ | 向きやすい業態 | 強み | 契約前の確認 |
|---|---|---|---|
| 1階路面 | 飲食、小売、テイクアウト、新規比率が高いサービス | 店頭認知、入りやすさ、商品の見せやすさ | 間口、歩行方向、段差、看板、排気、前面道路、駐輪 |
| 2階以上 | 美容、整体、ジム、塾、予約型サービス | 固定費を抑え、内装・人材・広告へ配分しやすい | 建物入口、袖看板、階段幅、EV、夜間照明、避難経路 |
| 商業施設 | 物販、飲食、ファミリー、ブランド店舗 | 施設集客、天候耐性、共用設備 | 営業時間、休館日、売上報告、歩合、内装監理、退店工事 |
| 住宅地・商店街 | 生活サービス、教育、医療、美容、地域飲食 | 再来店と口コミを育てやすい | 近隣合意、騒音・臭い、営業時間、自転車、看板規制 |
階数判断は1階路面と2階以上の店舗物件比較、工事費と設備の違いは居抜き物件とスケルトン物件の比較も参考になります。
用途地域・消防・許認可は物件単位で確認する
田園都市線の東京側は、商業地域から低層住宅地まで用途地域が混在します。同じ駅徒歩分数でも、建物用途、賃貸借契約、管理規約、自治体の条例・地区計画などにより、営業できる業態、深夜営業、看板、騒音への条件は異なります。世田谷区の都市計画図は用途地域等を調べる入口になりますが、これだけで営業可否を確定することはできません。契約前に所在地と計画業態を特定し、行政窓口、建築士、消防設備業者、業態に応じた許認可窓口へ個別に確認してください。
東京消防庁の案内では、店舗等を新たに使用する際の「防火対象物使用開始届出書」は使用開始日の7日前まで、対象となる修繕・模様替え等を行う際の「防火対象物工事等計画届出書」は工事開始日の7日前までの届出が示されています。必要書類や対象範囲は用途・規模・工事内容で変わるため、着工前に所轄消防署へ確認します。飲食店営業の許可・届出も、提供内容や施設基準により手続が異なります。内装設計前に保健所へ相談し、居抜き物件でも前営業者の許可が新しい営業者へ自動的に引き継がれるとは考えないでください。
この比較で失敗しやすい6つのパターン
出店駅と物件を決める7ステップ
最終結論:選ぶべき駅は、集客方法と固定費耐性で決まる
田園都市線東京側で、単純に「一番出店しやすい駅」はありません。渋谷は広域から多様な来街目的が重なる一方、固定費、競合、出口・街区による人流分断への対応が必要です。三軒茶屋は居住者と夕夜間需要を組み合わせる候補になりますが、競合の中で再来店理由を作れなければ埋もれます。
池尻大橋は小規模な目的来店型、駒沢大学はスポーツ・健康・公園利用と地域客の複合型、桜新町はファミリー向け継続利用型、用賀は就業者と住宅需要を時間帯で分ける複合型、二子玉川は大型商業施設の来街者と住宅地の地域客を分けて考える型です。いずれも商圏データだけで業態適性を確定せず、現在の競合、物件前導線、賃料・工事費を確認して判断します。
出店を進められるのは、次の条件がそろったときです
- 主顧客、来店時間、来店理由が明確で、駅の商圏構造と一致している
- 候補物件が実際の顧客導線上にあり、入口・看板・階数の不利を説明できる
- 保守的な売上でも総固定費と資金繰りを維持できる
- 競合との差が価格以外にあり、新規獲得と再来店の方法が決まっている
- 用途、設備、消防、許認可、工事、原状回復を契約前に確認できている
反対に、駅名の人気、乗降人員、施設来館者数だけが売上根拠になっている場合は、物件申込みをいったん見送るべきです。駅選びを物件探しより先に行い、最後は物件前の実人流と採算へ落とし込んでください。
田園都市線の候補駅比較・店舗物件選びをご相談ください
店舗立地研究所では、提携事業者と連携し、出店候補駅の比較から物件契約前の条件整理まで支援しています。
- 渋谷・三軒茶屋・用賀・二子玉川など候補駅の比較
- 商圏、人流、顧客属性、競合の分析
- 店舗物件探しと内見前の条件整理
- 賃料・初期費用・事業計画の確認
- 設備、工事、許認可の確認先整理
関連記事
参考資料・出典
- 「渋谷駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/shibuya-shouken-data/
- 「池尻大橋駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/ikezirioohashi-shouken-data/
- 「三軒茶屋駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/sangenzyaya-shouken-data/
- 「駒沢大学駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/komazawadaigaku-shouken-data/
- 「桜新町駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/sakurashinmachi-shouken-data/
- 「用賀駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/youga-shouken-data/
- 「二子玉川駅 商圏データ」店舗立地研究所、2026年7月19日閲覧:https://tenpo-ricchi.jp/hutagotamagawa-shouken-data/
- 「2025年度 駅別乗降人員・輸送人員」東急電鉄、2026年6月23日更新:https://www.tokyu.co.jp/railway/company/business/passengers/2025/
- 「Green UNDER GROUND」東急・東急電鉄、2026年7月19日閲覧:https://www.tokyu.co.jp/special/gug/
- 「渋谷駅中心地区の大規模再開発は最終段階へ」渋谷区、2025年6月15日:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/contents/koho-news/1581/20250615_special_mini.html
- 「ECLINE ikejiri ohashi 2026年8月オープン」株式会社リアルゲイト、2025年9月30日:https://realgate.jp/news/ecline/
- 「世田谷区都市計画図」世田谷区、2026年4月1日更新:https://www.city.setagaya.lg.jp/02008/3680.html
- 「防火対象物使用開始届出書」東京消防庁、2026年7月19日閲覧:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/drs/ss_03/001.html
- 「防火対象物工事等計画届出書」東京消防庁、2026年7月19日閲覧:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/drs/ss_03/002.html
- 「営業許可・届出の概要」東京都保健医療局、2026年7月19日閲覧:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html
データ利用上の注意
- 本記事は2026年7月19日時点で入手できる公開情報を使用しています。統計項目は、2015年の昼夜人口、2020年の居住人口・世帯、2021年の事業所・店舗、2023年の所得推計、2025年度の駅別乗降人員など、対象年が異なります。
- 店舗立地研究所の人口・世帯等は原則として駅から半径1,000mの商圏データです。坂道、幹線道路、河川、鉄道、商業施設、駅出口などによる分断を反映した実際の商圏とは一致しない場合があります。
- 駅の乗降人員は、候補物件前の通行量や来店可能人数ではありません。時間帯、曜日、属性、進行方向、滞留、入口の見え方を物件前で確認してください。
- 公開募集物件や平均募集賃料は、市場全体や成約賃料を示すものではありません。階数、面積、駅距離、築年、設備、居抜き・スケルトン、募集時期をそろえない単純比較は避けてください。
- 公開情報で同一条件を確認できない駒沢大学の2020年人口等、時点表記が混在する二子玉川の世帯データは、比較表へ推定値を入れていません。必要な場合は個別データを取得してください。
- 最終判断では、最新の競合、人流、視認性、進行方向、階数、間口、建物入口、駐輪・駐車、音・臭い、用途、設備、消防、許認可、工事区分、原状回復を現地・物件・行政窓口で確認する必要があります。


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