店舗物件は1階路面と2階以上、どちらを選ぶべき?
「店舗なら1階路面が一番」と思われがちですが、高い賃料を払っても売上につながらない業態があります。 反対に、2階・3階でも入口と看板、予約導線、設備条件が整えば、高収益店を作れる場合があります。 本記事では、飲食、美容、学習塾、整体、パーソナルジム、クリニックなど業態別に、 1階路面と空中階の向き不向き、家賃の考え方、内見時の確認項目を解説します。
先に結論:1階を選ぶべきなのは「1階だから増える売上」が家賃差を上回る店舗
1階路面店舗の価値は、単に目立つことではありません。 通行人が店舗を認知し、その場で入り、売上が増えることにあります。 店頭認知・衝動来店・高齢者や子どもの入りやすさが売上に直結する業態では、1階に高い賃料を払う意味があります。
一方、美容サロン、整体、学習塾、パーソナルジムなど、 検索・予約・紹介で来店する店舗は、2階以上でも営業できます。 1階との家賃差を広告、設備、内装、人材、顧客維持へ回した方が、収益性が高くなる場合もあります。
- 店を見てその場で入る人が多い
- テイクアウト・小売・日常飲食
- 高齢者、子ども、ベビーカー利用が多い
- 商品や価格を店頭で伝えられる
- 短時間・低関与の利用が中心
- 事前予約・検索・紹介で来店する
- 美容、整体、塾、ジム、専門サービス
- 一定時間滞在し、プライバシーが必要
- 内装・設備・人材へ資金を回したい
- 入口と看板で不安を解消できる
物件Aは1階で月40万円、物件Bは2階で月25万円でも、 入口、看板、エレベーター、人流、競合、設備、工事費によって実質的な収益性は逆転します。 店舗立地研究所では、提携不動産事業者と連携し、物件探しと立地分析を同時に進めます。
物件紹介だけでなく、「その家賃を払う価値があるか」まで一緒に確認します
不動産会社から物件を紹介されたとき、賃料、面積、駅徒歩だけで決めるのは危険です。 1階の視認性が実際に売上を増やすのか、2階でも予約来店できるのか、 主顧客がその通りを歩くのかを確認する必要があります。
店舗立地研究所では、業態・客単価・営業時間・必要設備を整理し、 提携不動産事業者によるテナント探し、候補物件周辺の人流・競合分析、 内見時の確認までワンストップで支援します。
この記事で分かること
- 1階路面と2階以上の本当の違い
- 高い1階賃料を払ってよい条件
- 空中階でも集客できる物件の特徴
- 飲食、美容、塾、整体、ジム、医療の業態別判断
- 内見・申込み前に確認すべき設備と契約条件
1階路面店舗と2階以上の空中店舗を比較
| 比較項目 | 1階路面店舗 | 2階以上の空中店舗 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 店頭認知 | 得やすい | 入口・看板次第 | 認知が実際の入店につながる業態か。 |
| 入りやすさ | 高い | 階段・EV・入口で差 | 高齢者、子ども、ベビーカー利用を確認。 |
| 賃料 | 高くなりやすい | 抑えやすい | 家賃差を追加粗利益で回収できるか。 |
| 衝動来店 | 作りやすい | 作りにくい | 通りがかり客が売上の何%を占めるか。 |
| プライバシー | 業態により不足 | 確保しやすい | 施術、相談、医療、教育との相性。 |
| 看板 | 店頭で訴求しやすい | 掲出条件が重要 | 袖看板・入口看板・窓面の可否。 |
| 搬入 | 比較的容易 | EV・階段・時間制限 | 食材、機材、廃棄物の動線を確認。 |
| 防犯・夜間安心 | 通りの状況による | 建物入口の印象が重要 | 女性客や子どもが夜に入れるか。 |
| 集客方法 | 店頭+検索+口コミ | 検索+予約+紹介+口コミ | オンライン集客に依存できるか。 |
1階の家賃差は「追加売上」ではなく「追加粗利益」で判断する
1階路面が月40万円、2階が月25万円なら、家賃差は月15万円です。 1階を選ぶには、1階にすることで増える粗利益が、少なくとも月15万円を上回る必要があります。 売上が15万円増えるだけでは足りません。原材料費、決済手数料、追加人件費などを差し引いて考えます。
1階を選ぶための基本式
家賃だけでなく、共益費、保証金の資金負担、看板費、内装費、光熱費、 追加人員なども含めて比較します。
上記は単純化した例です。 1階にすることでスタッフを増やす必要がある場合や、面積が広く光熱費も増える場合は、 必要な追加売上はさらに大きくなります。
家賃比率だけで判断しない
「家賃は売上の10%以内」といった目安はありますが、業態、粗利率、客単価、人件費率で適正値は異なります。 重要なのは、現実的な客数で家賃を含む固定費を回収できるかです。 希望売上から逆算するのではなく、商圏・人流・席数・施術枠から実現可能な売上を見積もります。
1階路面店舗に高い賃料を払う価値がある7つの条件
1.店頭を見て入る客が多い
テイクアウト、総菜、ベーカリー、カフェ、小売、日常飲食など、 来店前に店名を検索しない業態は1階の価値が高くなります。
2.商品や価格を店頭で瞬時に伝えられる
ショーケース、メニュー、商品陳列、価格表示により、 数秒で利用場面が伝わる店舗は通行人を売上へ変えやすくなります。
3.高齢者・子ども・ベビーカー利用が多い
階段や狭いエレベーターが来店障壁になる顧客を対象とする店舗では、 1階やバリアフリー物件の価値が高くなります。
4.予約なし・短時間利用が中心
「少し時間がある」「帰宅途中に買う」「その場で決める」という利用が多い店舗は、 視認性と入りやすさが売上に直結します。
5.夜間でも店内の様子が見える
ガラス面から明るい店内や利用者が見える店舗は、初回来店の不安を下げられます。 ただしプライバシーが必要な業態では逆効果になることもあります。
6.看板規制や建物入口に左右されたくない
空中階では、看板を出せない、入口が裏側、建物名が分かりにくいといった問題が起きます。 店頭集客が重要なら、1階の独立した入口は大きな価値があります。
7.追加粗利益で家賃差を回収できる
最後は収支です。 人通りが多くても、低単価・低粗利で家賃差を回収できないなら、 1階を選ぶ合理性は弱くなります。
WHEN TO CHOOSE UPPER FLOOR2階以上でも集客できる物件の7つの条件
1.予約・検索・紹介が来店の中心
Googleマップ、予約サイト、SNS、既存客の紹介で来店する業態は、 店頭通行量への依存度が低くなります。
2.建物入口が通りから見える
2階店舗で最も重要なのは、店舗の窓面より建物入口です。 入口が暗い、狭い、別の通りにある物件は、初回来店の離脱を招きます。
3.エレベーターまたは上りやすい階段がある
2階なら階段でも成立する場合がありますが、 3階以上、高齢者、施術後の顧客、子連れ利用ではエレベーターの重要性が高まります。
4.袖看板・入口看板・窓面表示が使える
看板の場所、サイズ、照明、使用料、管理規約を契約前に確認します。 「看板設置相談」と書かれていても、希望どおり掲出できるとは限りません。
5.夜間も安心して入れる
共用部の照明、入口の見通し、エレベーター、他テナント、管理状態は、 女性客、子ども、夜間利用の大きな判断材料です。
6.プライバシーや静けさが価値になる
美容、施術、相談、教育、医療などでは、 通行人から店内が見えないことが顧客価値になる場合があります。
7.家賃差を顧客体験へ投資できる
1階との差額を、内装、設備、広告、人材、予約システム、顧客維持へ回せるなら、 空中階の方が競争力を高められる場合があります。
BUSINESS TYPE業態別:1階路面と2階以上のどちらが向くか
飲食店
ランチ、テイクアウト、カフェ、日常飲食は1階との相性が良い業態です。 一方、予約制レストラン、目的性の高い専門店、会員制、バーなどは空中階でも成立します。 排気、給排水、ガス、グリストラップ、搬入、ゴミ、営業時間を優先し、 階数だけで決めないことが重要です。
美容室・ネイル・まつ毛・エステ
予約比率が高いため、2階以上でも成立しやすい業態です。 1階は新規認知を得やすい一方、外から見られることを嫌う顧客もいます。 給排水、電気容量、給湯、換気、入口の安心感、エレベーターを確認します。
学習塾・習い事教室
駅前1階である必要性は高くありません。 2階以上でも、学校・住宅地・駅の導線上で、子どもが安全に通えれば成立します。 避難経路、階段、防音、駐輪、送迎、夜間照明を重視します。
整体・リラクゼーション
予約・口コミが中心なら空中階向きです。 ただし、高齢者、痛みの強い人、施術後の顧客には階段が負担になります。 エレベーターの有無と、女性客が夜に入れる建物かを確認します。
パーソナルジム・ピラティス
空中階でも成立しやすい業態ですが、床荷重、振動、騒音、天井高、換気が最優先です。 1階でも上階が住宅なら問題が起きる場合があり、階数より建物構造と管理規約が重要です。
クリニック・歯科医院
高齢者、小児、急な体調不良を対象とする場合は、1階またはエレベーター付きが有利です。 予約中心の歯科、矯正、専門クリニックは空中階も候補になります。 バリアフリー、医療用途、給排水、電気容量、消防、行政手続を契約前に確認します。
物販・小売
商品を見て買う一般小売は1階の価値が高い業態です。 一方、予約制ショールーム、オーダー品、専門商材、EC連携型店舗は、 空中階や裏通りでも目的来店を作れます。
| 業態 | 1階路面の適性 | 2階以上の適性 | 最優先の確認項目 |
|---|---|---|---|
| テイクアウト・小売 | 高い | 低〜中 | 通行属性、間口、商品訴求、入店率 |
| 一般飲食 | 高い | 業態次第 | 排気、ガス、給排水、搬入、夜間人流 |
| 美容サロン | 中 | 高い | 入口、給排水、電気、予約集客 |
| 学習塾 | 低〜中 | 高い | 安全、避難、駐輪、防音、住宅導線 |
| 整体・リラク | 中 | 高い | EV、入口、夜間安心、継続率 |
| ジム・ピラティス | 中 | 高い | 床荷重、振動、騒音、天井、換気 |
| 医療・歯科 | 高い | EV付きなら高い | 用途、バリアフリー、設備、行政確認 |
建物の用途、管理規約、消防設備、避難経路、給排水、電気容量、排気、床荷重などにより、 希望業態で利用できない場合があります。 物件申込み前に、貸主・管理会社、設計・施工、消防、保健所、自治体など必要な窓口へ確認してください。
同じ2階でも集客力がまったく違う
強い空中階物件
- 駅や商店街から建物入口が見える
- 入口に店舗名と業態を大きく表示できる
- 明るく清潔な共用部がある
- エレベーターが店の営業時間中に使える
- 地図アプリで入口まで迷わず案内できる
- 同じ建物に相性の良いテナントが入っている
- 目的来店客が利用しやすい駅・住宅導線上にある
弱い空中階物件
- 入口が裏通りや建物の側面にある
- 看板をほとんど出せない
- 階段が急で暗い
- エレベーターが小さい、古い、営業時間制限がある
- 建物名・入口が地図上で分かりにくい
- 夜間に共用部が暗く、人通りがなくなる
- 他テナントの臭い、騒音、客層と相性が悪い
駅徒歩1分の弱い3階物件より、駅徒歩5分でも住宅地への帰宅導線上にあり、 入口が明るくエレベーター付きの2階物件の方が適することがあります。 「階数」だけでなく、建物入口から店舗ドアまでの体験を評価してください。
INTERIOR AND INITIAL COST家賃が安くても、工事費で逆転することがある
空中階は家賃を抑えやすい一方、業態に必要な設備がなければ工事費が増えます。 1階の居抜きと、2階のスケルトンを比べる場合は、 契約時初期費用と開業工事費を合わせて比較してください。
| 確認項目 | 費用が増える例 | 申込み前の確認 |
|---|---|---|
| 給排水 | 水回りの増設、床上げ、配管距離 | 位置、口径、排水勾配、工事区分 |
| 電気 | 容量増設、動力、分電盤交換 | 現容量、増設可否、費用負担 |
| 空調・換気 | 室外機置場不足、ダクト新設 | 設置場所、経路、管理規約 |
| 排気 | 屋上までのダクト、臭気対策 | 飲食可の表記だけで判断しない |
| 床・防音 | ジム、教室、音楽、機械振動 | 床荷重、上下左右テナント、使用時間 |
| 看板 | 袖看板製作、電源、使用料 | 掲出位置、サイズ、月額費用 |
| 原状回復 | 退去時のスケルトン戻し | 契約条項、既存造作の扱い |
内見時に確認するチェックリスト
1階・立地の確認
- 主要営業時間の店舗前人流
- 通行者の年代・性別・目的
- 店頭から商品・価格が伝わるか
- 間口、窓面、看板の見え方
- 自転車・車・街路樹による遮蔽
- 搬入、ゴミ、駐輪、短時間停車
空中階・建物の確認
- 通りから建物入口が見えるか
- 階段の幅・勾配・明るさ
- エレベーターのサイズと稼働時間
- 看板・窓面表示の掲出条件
- 夜間に女性・子どもが入りやすいか
- 他テナント、共用部、トイレの状態
設備・法令の確認
- 用途・希望業態の出店可否
- 電気、ガス、給排水、排気
- 消防設備と避難経路
- 床荷重、騒音、振動、防音
- 保健所・行政への事前相談
- 用途変更・確認手続の要否
契約・収支の確認
- 賃料、共益費、看板料、保証金
- フリーレントと工事可能期間
- 造作譲渡、設備の所有・修理責任
- 営業時間、休業日、業種制限
- 更新、解約予告、違約金
- 原状回復と退去時費用
1階・空中階選びでよくある失敗
1.店舗なら1階が安全だと思い込む
予約型業態なのに高い1階賃料を払い、利益が残らなくなるケースがあります。 1階で増える客数を具体的に見積もってください。
2.2階なら家賃が安いという理由だけで選ぶ
入口が分からない、看板が出せない、階段が暗い物件では、 広告費を増やしても初回来店率が上がらない場合があります。
3.駅徒歩と階数だけで比較する
主顧客が通らない駅前1階より、住宅地への帰宅導線上の2階の方が向くことがあります。 物件前の顧客属性まで確認します。
4.設備を確認せず申し込む
飲食、美容、医療、ジムなどは、給排水、排気、電気、床荷重などで出店できないことがあります。 「相談可」「業種可」の記載だけで判断しないでください。
5.居抜き設備を無料で使えると思う
設備が故障している、リース品である、修理責任が借主にある、 退去時に撤去が必要という場合があります。
6.物件を決めてから立地分析をする
申込み後では、立地上の問題が見つかっても判断を変更しにくくなります。 物件紹介、商圏分析、収支確認は同時に進めるべきです。
DECISION FLOW1階か2階以上かを決める5ステップ
最終結論:階数ではなく、売上の作り方と物件条件で選ぶ
1階路面は、店頭認知、衝動来店、入りやすさを売上に変えられる店舗に向きます。 高い家賃を払う場合は、1階による追加粗利益が固定費差を上回るかを確認してください。
2階以上は、予約、検索、紹介、継続利用で集客する店舗に向きます。 ただし入口、看板、階段、エレベーター、夜間の安心感に問題がある物件は避けるべきです。
最も危険なのは、「店舗だから1階」「安いから2階」と決めることです。 同じ商圏内で複数の候補を比べ、人流、顧客、設備、工事費、契約、収支を総合して判断してください。
1階と2階、どちらを借りるべきか迷っている段階でご相談ください
店舗立地研究所では、単に物件情報を紹介するだけでなく、 業態・客単価・営業時間に対して、その物件の家賃を払う価値があるかを分析します。
提携不動産事業者と連携し、テナント・貸店舗探しから、 候補物件前の人流、競合、入口、階数、設備、収支の比較までワンストップで支援します。
- 1階路面と空中階のどちらが向くか知りたい
- 業態に合う出店エリア・物件条件を整理したい
- 紹介された物件の家賃が妥当か判断したい
- 候補物件の人流や競合を比較したい
- 内見に同行・助言してほしい
- 事業計画や資金調達も含めて相談したい
参考: 国土交通省「建築基準法改正により、用途変更時に建築確認が必要となる特殊建築物の規模を200平方メートル超へ見直し」。 200平方メートル以下で建築確認手続が不要となる場合でも、建築基準法・消防法等への適合が不要になるわけではありません。 厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」。 飲食店等は業態・設備・地域に応じて営業許可・届出、施設基準への適合が必要です。 本記事は一般的な店舗物件選びの考え方を整理したもので、個別物件の法令適合性、営業許可、契約内容を保証するものではありません。 用途、面積、建物、地域、業態によって必要な確認は異なります。 物件申込み・契約・工事前に、貸主・管理会社、宅地建物取引業者、建築士、施工会社、消防、保健所、自治体等へご確認ください。


コメント