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妙蓮寺駅から徒歩3分。デザイナー転身の店主が12年で200名の作家とつながった器店「うつわ屋まほろ」を立地と経歴から分析

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街の店舗分析|ものづくり編・出店ストーリー編

妙蓮寺駅から徒歩3分。デザイナー転身の店主が12年で200名の作家とつながった器店「うつわ屋まほろ」を立地と経歴から分析

神奈川県横浜市港北区菊名2-8-20。東急東横線「妙蓮寺」駅から徒歩3分(メディアによっては7分と表記されるケースもあります)。もともとは自宅の車庫を改装した「デザイン事務所兼セレクトショップ」として始まった「うつわ屋まほろ」が、いまでは日本各地の個人作家、約200名とつながる器の専門店に育っています。急行が通過する住宅密集エリアという一見不利な立地で、なぜこの店は10年以上にわたり支持を集め続けているのか。その経歴と立地の意味を店舗立地研究所が分析します。

妙蓮寺駅から徒歩3分
元CDジャケットデザイナーの店主・清野陽平さん
取扱作家数 約200名
陶器・磁器・ガラス・漆芸・金工の作家もの専門店
公開情報による独自分析
「街の店舗分析」とは

店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なる店舗紹介や格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、このお店が支持されるのか」を考えます。

公開情報をもとにした分析では、確認できた事実と店舗立地研究所による考察・提案を区別して掲載します。店舗への取材が実現した場合は、オーナーの声や現地で確認した情報を加えた「リアル店舗レポート」として、さらに詳しくご紹介します。

先に結論:「うつわ屋まほろ」の最大の特徴は、駅の急行が通過する住宅密集エリアという一見不利な立地にありながら、「若手作家の発表の場をつくる」という一貫した方針と、店主自身の”バイアスを持たない”仕入れ哲学によって、全国の作家と顧客の双方から支持される目的地型の店に育っている点にあります。元デザイナーという異色の経歴を持つ店主が、家業の延長として始めた小さな軒先の店を、10年以上かけて専門店として育て上げてきた過程は、「駅前の一等地でなくても、コンテンツの力で人を呼べる」という好例だと言えるでしょう。

うつわ屋まほろはどんなお店?

うつわ屋まほろは、神奈川県横浜市港北区菊名2-8-20、東急東横線「妙蓮寺」駅から徒歩数分の住宅街に店を構える、日本各地の個人作家による陶器・磁器・ガラス・漆芸・金工の器やクラフトアイテムを扱う専門店です。運営するのは、店主の清野陽平さん。1986年に横浜で生まれ、多摩美術大学の情報デザイン学科でメディアアートを学んだのち、CDジャケットやロゴデザイン、Webデザイン、書籍の装丁などを手掛けるフリーランスデザイナーとして活動していました。

きっかけは、東京・小岩でデザインの仕事をしていた清野さんが、家庭の事情で妙蓮寺の実家に戻ることになったことでした。ちょうど自宅の改装を検討していたタイミングで、当初は事務所として使うだけの予定だったスペースを、「それだけだとおもしろくない」という思いから、デザイン事務所兼お店という形に変えたのが始まりです。母親が以前からセレクトショップをやりたがっていたこともあり、器や和雑貨、食品などを扱う「お土産にもなる、日本のちょっと変わったものを扱うお店」としてオープンしました。当初は母親との二人三脚での運営でしたが、オープンから3年ほど経った頃から清野さんが経営のメインを担うようになり、世間でも食や暮らしを扱うセレクトショップが増えてきた流れの中で、「作家ものの器に特化していこう」と方向転換していったといいます。

「うちは基本的には、日本の各地の個人作家さんの作品がほとんどですね。マテリアル的には陶器・ガラス・木工・漆芸、あとは金工もありますね。どちらかというと、個人のクリエイションにフォーカスして、個展とか常設の取り扱いをさせてもらっています。」

――店主・清野陽平さん(96bst.com「あの人に会いにVol.4」インタビューより)

店舗名
うつわ屋まほろ
所在地
神奈川県横浜市港北区菊名2-8-20
運営
店主・清野陽平さん(1986年横浜生まれ、元フリーランスデザイナー)
開業
2014年前後(インタビューにより「10年ほど前」との表現もあり、正確な開業年には情報源により差異があります)
業態
個人作家による陶器・磁器・ガラス・漆芸・金工の器・クラフト専門店
取扱作家数
現在約200名(時期により変動)
営業時間
12:00〜18:00(火・水定休、公式Instagramより)
TEL
045-402-5211
公式Instagram
@maholo__(27.6万フォロワー)
公式サイト
maholo.net
店舗立地研究所が「うまい」と感じた3つのポイント
1.「若手作家の発表の場をつくる」という一貫した仕入れ方針

清野さんはインタビューの中で、店づくりのこだわりとして「なるべく若手の作家さんが発表できるような場所を作りたい」ことを明確に語っています。展示経験がなく他店での取り扱いが一切ない作家でも、作品が店にフィットし、クオリティが高ければ声をかけて企画を練るという姿勢は、単なる仕入れではなく、作家の育成と発掘を担う「場」としての機能を店自体が持っていることを示しています。

2.「お店のバイアスをなくす」という独自の接客哲学

器屋や古道具屋には「店主の強さ」が色濃く出る店も多い中、清野さんは「お客さんが直接作品を見た時の感性を大事にしてほしい」という考えから、あえて店側の押しつけを抑えた紹介や空間づくりを心がけています。顧客が自然に作品と向き合える体験を提供している点は、器という感性に大きく左右される商材だからこそ効果を発揮する接客方針だと考えられます。

3.「必ず実物を見て決める」という手間を惜しまない仕入れスタイル

作家を探す方法について、清野さんは直接工房を訪ねたり、クラフトフェアなどのイベント会場で作品を見て話をするなど、基本的に「直接会う」ことを重視していると語っています。遠方の作家でSNSなどで知った作品であっても、実物を見て判断することを決めているというエピソードは、これが「まほろでしか出会えないもの」という独自性の源泉になっていると見ることができます。

立地分析:急行通過駅・住宅密集エリアという「日常の商圏」

うつわ屋まほろが店を構える妙蓮寺駅は、東急東横線の急行が通過する駅でありながら、横浜駅まで約7分というアクセスの良さを持つ、純粋な住宅密集エリアです。店舗立地研究所が別途まとめた商圏分析によれば、妙蓮寺駅から半径1,000m圏の夜間人口は46,771人に対し、昼間人口は22,586人・昼夜比0.48という、典型的なベッドタウン型の構造を示しています。百貨店・総合スーパーを持たない生活密着型の商圏であり、器という趣味性の高い商材を扱う専門店にとっては、通行量に依存する立地ではなく、目的来店を前提とした店づくりが不可欠なエリアだと言えます。

妙蓮寺エリアの特性 公開情報 うつわ屋まほろへの読み替え
昼夜比 0.48(夜間人口46,771人・昼間人口22,586人) 通行量に依存しない、目的来店型の集客構造が前提となる。
高所得世帯比率 31.8%(年収700万円以上)、全国平均の約1.5倍 作家ものの器という比較的高単価な商材との相性が良い購買力層が存在。
1人世帯比率 49.7%(全国平均38.0%を大きく上回る) 単身の若年層・単身高所得層にも「一点ものの器」というギフト・自分用途の需要が見込める。
商業集積 百貨店・総合スーパー0店舗、飲食店56店舗、生活関連サービス62事業所 大型商業施設がない分、個性ある個人店が住民の日常の楽しみとして定着しやすい。

※駅別・商圏別の数値は国勢調査・経済センサス等の公的統計を基礎として整理したものです。統計項目により調査時点・調査方法が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。

開業までの軌跡:家業の延長から、専門店への10年以上の歩み

うつわ屋まほろの開業は、明確な事業計画から始まったわけではありませんでした。清野さん自身が振り返るように、当初は「こんなところまで人が来ないだろう」という前提で、あくまでデザインの仕事を主業務としながら、たまに来客があれば対応するというスタンスでのスタートだったといいます。友人が訪れることを喜んでいた時期から、次第に「そんなスタンスじゃ駄目だ」と意識を切り替え、店中心の生活へと移行していった過程は、多くの個人店が経験する成長の典型例だと言えるでしょう。

仕入れの面でも、当初は東京ビッグサイトや東京ドームで開催される大規模な焼き物の展示会に足を運びながら業界の構造を学び、フィーリングの合う作家に声をかけるという手探りの状態から始まりました。しかし大規模な展示会では他の店も同じ作品を見つけてしまうという課題に気づき、益子や多治見といった産地に直接足を運ぶ仕入れへと徐々に移行していったといいます。ある作家との出会いが、友人の引っ越しで不要になった空気清浄機を受け取りに行った先で偶然広がったという逸話も語られており、こうした人と人との縁の積み重ねが、現在の約200名という取扱作家数につながっていると考えられます。

さらに広がりそうな3つの可能性

ここからは、店舗の現在の顧客構成や実施状況を確認したものではなく、公開情報と店主の活動傾向、エリア特性から考えられる今後の可能性です。すでに実施されている取組が含まれる可能性があります。

1.産地・異業種ブランドとのコラボレーションの拡張

新潟・燕三条の金属黒染めブランド「96【KURO】」との取り扱いのように、清野さんは伝統的な産地技術を持つブランドとの協業に積極的な姿勢を見せています。今後も包丁やお箸といった新たな商材への言及がインタビューの中で見られており、こうした産地ブランドとの企画展開を広げることで、器以外の分野からの新規顧客層を取り込める可能性があります。

2.デザイナーとしての知見を活かした発信力の強化

清野さんはWebデザインや装丁を手掛けてきた経験を、店舗運営における陳列やポップ制作にも活かしていると語っています。27.6万人規模のInstagramフォロワーを抱える現状を踏まえると、デザイナーとしての専門性をさらに活かしたビジュアル発信や、作家の技術・歴史を伝えるコンテンツ展開によって、器に馴染みのない層への訴求力を高められる余地があると考えられます。

3.住宅密集エリアの高所得単身層への訴求

妙蓮寺エリアは1人世帯比率49.7%・高所得世帯比率31.8%という特性を持ちます。ギフト需要だけでなく、自分の暮らしを豊かにするための一点ものの器を求める単身層への訴求を強化することで、住宅街という立地を逆に強みとした顧客基盤の拡大が期待できます。

もっと認知を広げるなら考えられること
「デザイナーから器の目利きへ」という経歴そのものをコンテンツに

多摩美術大学出身、CDジャケットデザインなどを手掛けてきたという清野さんの経歴は、一般的な器店の店主像とは一線を画すユニークな要素です。この経歴と、「なぜ器の世界に惹かれたのか」という個人的な物語を、初めて店を訪れる人にもわかりやすく伝えるコンテンツとしてより前面に出すことで、器に詳しくない層にも入店のきっかけを作れると考えられます。

「バイアスを持たない接客」を体験として設計する

清野さんが語る「お客さんの感性を大事にする」という接客哲学は、言葉で伝えるだけでなく、初めて訪れる顧客が実際に体感できる仕組み(POPの工夫、作家ごとのストーリーカードなど)として設計することで、より多くの来店者に伝わりやすくなる可能性があります。

店舗経営の視点:住宅密集エリアの専門店特有の検討余地

急行が通過する住宅密集エリアで10年以上にわたり専門店を営んできたうつわ屋まほろには、同様の立地・業態を営む店主にとって参考になる検討点もあります。以下はうつわ屋まほろが現在必要としている、または各制度を利用できると判断したものではありません。同様の業態を営む店主にとっての一般的な選択肢です。

目的来店型ゆえの、認知経路の多様化

昼夜比0.48という住宅密集エリアでは、通行量に依存した集客は成立しにくく、SNSや口コミといった目的来店を促す経路の重要性が一段と高まります。すでに27.6万人規模のフォロワーを抱えるうつわ屋まほろにとっても、複数の発信経路(ブログ、YouTube出演、他ブランドとのコラボ企画など)を組み合わせていくことは、住宅街立地の店舗が継続的に新規層を獲得するうえで検討できるポイントです。

取扱作家数の拡大に伴う、店舗スペースとの兼ね合い

約200名という取扱作家数は、個人店としては非常に大きな規模です。展示会形式(1週間強のサイクルでの企画展示)を軸に運営している現状を踏まえると、限られた店舗面積の中で、常設展示と企画展示のバランスをどう最適化していくかは、規模拡大に伴い検討の重要性が増していく論点だと考えられます。

補助金は「使えるものを探す」より、必要な投資から逆算する

補助金は、採択や交付決定が約束されるものではなく、申請前に契約・発注・支払いをすると対象外になる制度もあります。まず事業の課題と必要な投資を整理し、その後に対象制度、公募期間、補助対象経費を確認する順番が重要です。2026年8月時点では、小規模事業者持続化補助金、横浜市が実施する小規模事業者店舗改修助成事業などがあります。募集期間、予算残額、対象経費などは変わるため、必ず申請時点の公式情報を確認する必要があります。

【街の店舗分析まとめ】家業の延長から、200名の作家とつながる専門店へ

うつわ屋まほろの強さは、駅前一等地ではない住宅密集エリアという立地の不利を、「若手作家の発表の場をつくる」という一貫した方針と、店主自身がバイアスを持たずに顧客の感性を大事にする接客哲学によって覆してきた点にあります。元デザイナーという異色の経歴を持つ店主が、家業の延長として始めた小さな軒先の店を、10年以上かけて全国約200名の作家とつながる専門店へと育て上げてきた過程は、「立地の不利をコンテンツの力で乗り越える」という好例だと言えるでしょう。これからも産地ブランドとのコラボレーションや発信力の強化を通じて、この店がどのような広がりを見せていくのか、注目に値するテーマです。

地域のお店を、商圏データと一緒に紹介します

店舗立地研究所では、飲食店、物販店、雑貨・クラフトブランド、美容サロン、パーソナルジムなど、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。

掲載・取材をご希望の店舗様は、公式LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。店舗の出店・移転・商圏分析、事業計画、資金調達、補助金活用、集客、省力化のご相談についても対応しております。

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出典・確認資料

執筆・分析:太田 満/編集:店舗立地研究所編集部

本記事は店舗の優劣や経営状態を格付けするものではありません。公開情報と商圏データを用いて、地域店舗の魅力と立地・店舗経営上の可能性を独自に考察したものです。売上、利益、実際の顧客構成等を推定・保証するものではありません。

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この記事を書いた人

太田 満のアバター 太田 満 店舗立地研究所及び合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ代表

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ 代表社員
店舗立地研究所 代表

株式会社みずほ銀行にて16年間、数百社の中小企業オーナー・個人事業主の渉外・融資審査・経営相談業務に従事。
2021年独立後は創業支援・店舗出店支援を多数手がける現役コンサルティング会社代表。

専門は店舗事業の商圏(エリア)分析。2,000以上のエリア分析を実施し、「負けない店舗経営」「失敗しないフランチャイズ選び」を支援中。

資格:中小企業診断士・宅地建物取引士・フランチャイズオーガナイザーのほか、賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・不動産証券化マスター・M&Aシニアエキスパートなどの資格も保有。

第19回(2026年4月30日締切)小規模事業者持続化補助金の申請者に対して、KLA(KDDI Location Analyzer)を用いた自社商圏分析サポートを実施。

その他、税理士事務所様などと共催の補助金セミナーなども行っており、店舗立地や補助金などのセミナー依頼も、公式LINEからお気軽にお問い合わせくださいませ。

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