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神奈川県産の牛乳から生まれる自家製モッツァレラ。大倉山の隠れ家イタリアン「The Cheese」、多店舗修業を経た料理人が届ける“気負わないチーズ体験”

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街の店舗分析|こだわり食材編

神奈川県産の牛乳から生まれる自家製モッツァレラ。大倉山の隠れ家イタリアン「The Cheese」、多店舗修業を経た料理人が届ける“気負わないチーズ体験”

東急東横線「大倉山駅」から徒歩5分ほどの通り沿いに、その日の天候に合わせて練り具合を調整するほどチーズにこだわる、小さなイタリアン&バーがある。店名は「The Cheese」。オーナーシェフの多門達郎さんが、神奈川県内産の牛乳を使って毎日手づくりするモッツァレラチーズが看板の一皿だ。都内の居酒屋や洋食店、関内のイタリアン・スペイン料理店で腕を磨き、元住吉のイタリアンで店長・料理長を務めた末に2019年、大倉山の地で独立を果たした。今回はこの「チーズを主役に据えたイタリアンバル」を、大倉山の商圏データとともに分析する。

大倉山駅徒歩5分
2019年8月開業
オーナーシェフ 多門達郎氏
神奈川県産牛乳の自家製モッツァレラが看板
個室・貸切可の隠れ家イタリアン
「街の店舗分析」とは

店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なる店舗紹介や格付けではなく、実在するお店を通じて「なぜこの場所で、この業態が支持されるのか」を考えます。

今回取り上げる「The Cheese」は、開業から6年ほどが経過した実力店です。イタリアンでありながら「チーズ専門店」を名乗る店は決して多くなく、しかも素材を自家製で仕込むという拘りは、大倉山という住宅地商圏において確かな差別化要因になっています。その成り立ちと、店主の修業歴という視点から、この店の魅力を紹介します。

先に結論:「The Cheese」は、居酒屋・洋食店・イタリアン・スペイン料理店という複数の現場を渡り歩いた料理人が、最後に「チーズ」という一点に絞り込んで独立した店です。単に「イタリアンでチーズも出す」という店ではなく、神奈川県内産の牛乳を仕入れ、その日の気温や湿度に応じて温度管理と練り具合を微調整しながらモッツァレラを手づくりするという、素材づくりそのものを看板に据えている点に、この店ならではのオリジナリティがあります。

「The Cheese」はどんなお店?

The Cheeseは、神奈川県横浜市港北区大曽根1丁目10-2に位置し、東急東横線「大倉山駅」から徒歩5〜6分ほどの立地にあります(食べログ表記では駅から398m)。改札を出て左、スターバックスを左に進んだ先という、住宅地の中に静かに構える隠れ家的な一軒です。食べログの店舗情報によれば、オープン日は2019年8月19日、席数はカウンター6席・テーブル8席・個室テーブル8席の合計20席で、4人・6人・8人用の個室があり、20人以下であれば貸切も可能です。禁煙・喫煙は完全禁煙、決済はクレジットカード(VISA・Master・AMEX・JCB・ダイナース)に対応していますが、電子マネーは不可となっています。

営業時間については媒体によって多少の表記差がありますが、ヒトサラの店舗情報では、ランチが火〜日・祝の12:00〜15:00(料理L.O.14:00)、ディナーが火〜金18:00〜23:00(料理L.O.22:00/ドリンクL.O.22:30)、土17:00〜23:00(同)、日・祝17:00〜22:00(料理L.O.21:00/ドリンクL.O.21:30)で、月曜が定休日となっています。食べログでは閉店時間がやや遅め(火〜金・土は23:30まで)に記載されているなど、細部の差異があるため、来店前に公式情報での確認をおすすめします。利用シーンとしては「家族・子供と」「女子会」「合コン」が挙げられており、子供可(乳児可)とされている点も、住宅地に根づいた店としての受け入れやすさを示しています。

店舗名
The Cheese(ザ・チーズ)
所在地
神奈川県横浜市港北区大曽根1-10-2
アクセス
東急東横線「大倉山駅」から徒歩5〜6分(駅から約398m)
開業日
2019年8月19日(食べログ表記)/カナロコ・ヒトサラでは「2019年夏」
業態
自家製モッツァレラチーズが看板のイタリアン&バー
営業時間
ランチ12:00〜15:00(火〜日・祝)/ディナー17:00〜23:00台(曜日により変動)
定休日
月曜日
席数
20席(カウンター6席・テーブル8席・個室テーブル8席)、貸切可(20人以下)
予算
ランチ2,000〜2,999円/ディナー4,500〜5,999円程度
運営
オーナーシェフ 多門達郎さん(1982年東京都出身)
公式情報
公式Instagram
オリジナリティ①:居酒屋からイタリアンまで渡り歩いた料理人が、最後に選んだ「チーズ」という専門

この店の個性は、まずオーナーシェフ多門達郎さんの経歴そのものに現れています。ヒトサラのプロフィールによれば、多門さんは1982年、東京都出身。料理上手な母の影響で子供の頃からキッチンに立ち、料理の道を志したといいます。都内各所の居酒屋で幅広い調理の技を磨いたのち、京橋の洋食店、関内のイタリアン・スペイン料理店を経て、元住吉のイタリアンで店長・料理長として活躍。そして2019年夏、大倉山に「The Cheese」を開業しました。経験年数は25年と記載されており、和洋を問わず様々な現場を渡り歩いた末に、イタリア料理という一つの専門ジャンルへ、さらにその中でも「チーズ」という一点に絞り込んで独立した経緯がうかがえます。

「多様な楽しみ方があるチーズ。店の味を通して、好みを発見してもらえたら」

――神奈川新聞「カナロコ」特集「チーズの魅力たっぷり The Cheese(横浜)」(2025年4月16日)より

複数のジャンル・業態の現場でキャリアを積んだ料理人が、最終的に「チーズ専門」という看板を掲げて独立するケースは決して多くありません。居酒屋の現場で培った幅広い調理技術と、イタリアン・スペイン料理店で磨いた専門性の両方を土台に持つ点が、この店のメニュー構成の柔軟さ(コース料理は肉料理主体でありながら、チーズと生パスタを組み合わせるなど)にも表れているとみられます。

オリジナリティ②:神奈川県産の牛乳を、その日の天候に合わせて仕込む自家製モッツァレラ

The Cheeseの看板商品は、県内産の牛乳を原料に多門さんが毎日手づくりするモッツァレラチーズだ。カナロコの取材記事によれば、その日の天候などに合わせて温度管理や練り具合を細やかに調整して作り上げているといい、この工程そのものがファンの多さの理由になっているという。来店した全ての人にフレッシュな味わいを楽しんでもらいたいという思いから、モッツァレラチーズと季節の果物を盛り合わせた一皿がお通し(550円)として提供されており、記事では「口に運ぶと、ふんわり軟らかく、ミルキーで濃厚なうまみがジュワッとあふれ出す。果物の爽やかな甘さとよく合い、みずみずしいスイーツを食べているようだ」と評されている。

「チーズやワインが分からなくても気兼ねなく楽しんで」

――神奈川新聞「カナロコ」同記事より、多門達郎さんの言葉

看板メニューのもう一つが、生地の周りはサクッと、内側はもちっとした食感に仕上げた「手作りモッツァレラのマルゲリータ」(直径27センチ、1,188円)だ。チーズとトマトが調和したすっきりとした酸味が特徴で、1人でも食べ切れるサイズ感だという。店内ではこの自家製モッツァレラに加え、イタリアやフランス産を中心とする多彩なチーズも取り扱っており、盛り合わせプレートやチーズを使った料理を通じて「チーズの魅力を再発見できる」構成になっている。

「素材を自分で仕込む」という一手間が、店全体のブランドになっている。
チーズという単一素材にフォーカスし、毎日の天候に応じて仕込みを変えるという丁寧な手仕事は、既製品を組み合わせるだけの店にはない説得力を生んでいます。「チーズ専門イタリアン」という看板は、この裏付けがあってこそ成立していると言えるでしょう。

オリジナリティ③:気軽に立ち寄れる隠れ家設計。ワイン飲み放題とコースの柔軟性

The Cheeseは「街のオアシス的ダイニング&バー」として紹介されており、20席というコンパクトな規模ながら個室(4人・6人・8人用)や貸切対応(20人以下)を備え、女子会や家族利用、合コンなど幅広い利用シーンに対応している点も特徴だ。コースメニューはヒトサラの掲載情報によれば、当店こだわりのチーズを堪能できる肉料理主体の3,500円コース、牛ザブトンステーキや生パスタとチーズを組み合わせた4,000円の贅沢コースに加え、それぞれに生ビール込みの飲み放題を付けた5,500円・6,000円のプランも用意されている。また、世界各国28種類のワインを2時間1,958円で飲み比べられる単品飲み放題プランもあり、チーズと合わせてワインをじっくり楽しみたい客層のニーズにも応えている。

食べログの評価分析では、総合評価3.69、料理・味3.71、サービス3.49という評点が示されており、口コミには「大倉山の隠れ家バル。チーズ好きはぜひ訪れてほしい、素材へのこだわりが光る一軒」といった声が寄せられている。駅から少し入った立地でありながら、こうした口コミによって「知る人が知る」隠れ家として支持を広げてきた店であることがうかがえる。

大倉山は「購買流出型・高所得居住商圏」。専門店が根付きやすい住宅地の土壌

店舗立地研究所が整理した大倉山駅半径1km圏のデータでは、夜間人口52,054人に対し昼間人口30,870人、昼夜比0.60という「典型的な昼間流出型のベッドタウン商圏」であることが示されている。大型商業施設やオフィスビル群をほとんど持たない純粋な住宅地であり、来街倍率(商業人口÷夜間人口)は約0.74倍と1倍を下回る。これは住民の購買力の多くが横浜駅や綱島・日吉・菊名など近隣の商業集積地へ流出している実態を示す一方、「地元で食べたい」という潜在需要が高く、適切な業態であれば固定客を獲得しやすい商圏特性でもある。

一方で、この商圏の居住者の質は高い。高所得世帯比率(年収700万円以上)は33.4%と全国平均の約1.6倍、年収1,000万円以上の世帯も16.6%に達しており、高所得ファミリー・DINKS層が厚く集積している。持ち家世帯比率は54.9%、一戸建て比率も24.0%と横浜駅周辺(9.9%)を大幅に上回るなど、定住性の高い住民が多いことも特徴だ。飲食店数は113店舗と、綱島や大倉山周辺の他商圏と比べても決して多い数ではなく、コストコンシャスな低価格帯ではなく品質・体験に価値を見出す顧客層に向けた、中〜高価格帯での専門店業態が支持されやすい土壌だと考えられる。The Cheeseのように、チーズという単一素材への専門性を掘り下げた業態は、こうした「高所得・定住型」の住宅地商圏においてこそ、口コミを軸に固定客を積み重ねやすいポジションにあると言える。

大倉山駅1km圏の指標 公開値 「The Cheese」への読み替え
昼夜人口比 0.60(購買流出型・住宅地商圏) 平日夜〜週末に集客が集中しやすく、月曜定休・夜営業中心の店舗設計と相性が良い構造です。
高所得世帯比率 33.4%(年収700万円以上) コース3,500〜6,000円、ワイン飲み放題1,958円といった中価格帯メニューへの支出余力がある層が一定数存在します。
持ち家率・一戸建て比率 54.9%/24.0% 定住性の高い住民が多く、口コミによる常連客の積み重ねが成立しやすい地域です。
来街倍率 約0.74倍(購買流出型) 大型商業施設に頼らず、専門性の高い個人店が「地元で選ばれる」余地が大きい商圏です。
飲食店数 113店舗 飲食業態としての集積は限定的で、「チーズ専門」という業態自体の競合はほぼなく差別化が明確です。

※大倉山駅の商圏データは、国勢調査・経済センサス等を基礎として店舗立地研究所が整理した半径1km圏の公開値です。統計項目により基準年が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。

店舗立地研究所が「気になる」と感じた3つのポイント
1.素材そのものを仕込む姿勢

既製品を組み合わせるのではなく、県内産牛乳から天候に応じてモッツァレラを手づくりする工程そのものが、店の説得力になっています。

2.多店舗修業を経た調理の幅

居酒屋から洋食、イタリアン・スペイン料理まで渡り歩いた経歴が、チーズを軸にしながらも肉料理・生パスタなど幅のあるコース構成に反映されています。

3.隠れ家設計の柔軟性

個室・貸切対応、子供可、幅広い利用シーンへの対応など、20席という小規模ながら多様な客層を受け止める設計が参考になります。

【街の店舗分析まとめ】

「The Cheese」は、居酒屋から洋食店、イタリアン・スペイン料理店、そして店長・料理長経験を積んできた料理人・多門達郎さんが、最終的に「チーズ」という一点に専門性を絞り込んで独立した店です。その強さの源泉は、珍しい業態というだけでなく、神奈川県産の牛乳から天候に応じてモッツァレラを手づくりするという、素材づくりへの丁寧な手仕事にあります。大型商業施設を持たない大倉山という購買流出型の住宅地商圏においても、こうした専門性の高い個人店は、口コミを軸に高所得・定住型の住民から固定客を積み重ねやすいポジションにあると考えられます。

この記事は公開情報を基にした分析であり、多門さんご本人から直接お話を伺えたわけではありません。「The Cheese」という店名やコンセプトに込めた思い、独立を決意した経緯、日々の仕込みにおける具体的な工夫など、公開情報だけでは分からないことが数多くあるはずです。もし取材の機会をいただけましたら、開業の経緯やお店づくりの背景について直接お伺いし、改めて記事としてお届けできればと思っております。

地域のお店を、商圏データと一緒に紹介します

店舗立地研究所では、飲食店、美容サロン、整体・リラクゼーション、パーソナルジム、専門小売店など、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。

掲載・取材をご希望の店舗様は、公式LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。店舗の出店・移転・商圏分析、事業計画、資金調達、補助金活用、集客、省力化のご相談についても対応しております。

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出典・確認資料

執筆・分析:太田 満/編集:店舗立地研究所編集部

本記事は店舗の優劣や経営状態を格付けするものではありません。公開情報を用いて、地域店舗の魅力と立地・店舗経営上の可能性を独自に考察したものです。売上、利益、実際の顧客構成等を推定・保証するものではありません。営業時間・メニュー内容は変更されることがあるため、ご来店前に必ず公式Instagramや電話での最新情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

太田 満のアバター 太田 満 店舗立地研究所及び合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ代表

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ 代表社員
店舗立地研究所 代表

株式会社みずほ銀行にて16年間、数百社の中小企業オーナー・個人事業主の渉外・融資審査・経営相談業務に従事。
2021年独立後は創業支援・店舗出店支援を多数手がける現役コンサルティング会社代表。

専門は店舗事業の商圏(エリア)分析。2,000以上のエリア分析を実施し、「負けない店舗経営」「失敗しないフランチャイズ選び」を支援中。

資格:中小企業診断士・宅地建物取引士・フランチャイズオーガナイザーのほか、賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・不動産証券化マスター・M&Aシニアエキスパートなどの資格も保有。

第19回(2026年4月30日締切)小規模事業者持続化補助金の申請者に対して、KLA(KDDI Location Analyzer)を用いた自社商圏分析サポートを実施。

その他、税理士事務所様などと共催の補助金セミナーなども行っており、店舗立地や補助金などのセミナー依頼も、公式LINEからお気軽にお問い合わせくださいませ。

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