📈 商圏レポート公開エリア数:713エリア!(9/6時点)続々追加中。 記事一覧を見る

綱島駅徒歩2分「NINE ROVER(ナインローバー)」はなぜ”入れ替わりの物件”で古着屋が続くのか?お茶漬け→プリン→古着、3代替わりの立地を分析

  • URLをコピーしました!

街の店舗分析|立地変遷編・小規模物販編

綱島駅徒歩2分「NINE ROVER(ナインローバー)」はなぜ”入れ替わりの物件”で古着屋が続くのか?
お茶漬け→プリン→古着、3代替わりの立地を分析

東急東横線・綱島駅西口を出てすぐの通り沿い、2025年3月にひっそりとオープンした小さな古着屋「NINE ROVER(ナインローバー)」。テーラードジャケットなど、オンオフどちらでも使える古着を中心にセレクトする、ご夫婦経営のお店です。実はこの物件、味噌汁とだしかけごはんのテイクアウト専門店、プリン専門店と、ここ数年で業態が目まぐるしく入れ替わってきた場所でもあります。公開情報と綱島駅の商圏データから、店舗立地研究所がこの物件の変遷と、古着という業態の相性を独自に分析します。

綱島駅西口徒歩2分
2025年3月オープン
ご夫婦経営・小規模店
3代替わりの物件
公開情報による独自分析
「街の店舗分析」とは

店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なるグルメ・ショップ紹介や店舗の格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、この業態が支持されるのか」を考えます。

公開情報をもとにした分析では、確認できた事実と店舗立地研究所による考察・提案を区別して掲載します。店舗への取材が実現した場合は、オーナーの声や現地で確認した情報を加えた「リアル店舗レポート」として、さらに詳しくご紹介します。今回は、これまでの揚げ物×イートイン型(poccola)に続き、「短命なテナントが続いた物件に、あえて回転率よりも一点物との出会いを重視する業態を持ち込んだ」という、綱島駅前ではまだ珍しいパターンの分析対象として取り上げます。

先に結論:NINE ROVERは、「短命なテナントが続いた物件」に、あえて”じっくり型”の業態を持ち込むことで、立地の弱点を強みに変えたお店だと考えられます。

綱島駅徒歩2分という好立地にありながら、この物件はここ数年、業態が定着しない場所でした。そこに、来店頻度よりも「一点ものとの出会い」を重視する古着という業態を持ち込んだことが、この場所に合った選択だったのではないかと感じます。

NINE ROVERはどんなお店?

NINE ROVER(ナインローバー)は、神奈川県横浜市港北区綱島西1丁目、東急東横線・綱島駅から徒歩2分の場所にある古着店です。公式Instagramによれば、テーラードジャケットなど「仕事で使える古着」を中心に取り扱っており、地域メディアの取材記事によると、2025年3月にオープンした「古着好きご夫婦がのんびり営む小さなお店」と紹介されています。決して広くはない店内に、一着ずつ「本当に良い」と思えるものを厳選して並べる方針で、試着スペースも設けられているとのことです。

取り扱いジャンルはメンズ・レディースともにあり、オフィスカジュアルにも使えるジャケット類が人気とされ、価格帯は1,000円〜4,800円程度とリーズナブルな設定です。Instagramのフォロワーには会計時に100円引きの特典があるなど、SNSを軸にしたリピーター獲得の工夫も見られます。営業は不定期で、Instagramにて営業日・営業時間がその都度告知される形式です。

店舗名
NINE ROVER(ナインローバー)
所在地
神奈川県横浜市港北区綱島西1-10-19
アクセス
東急東横線・綱島駅から徒歩2分
開業
2025年3月10日オープン
営業形態
ご夫婦経営の小規模古着店
営業時間・定休日
不定休(Instagramにて営業日告知)※一部媒体では月・水14:00〜19:00の表記もあり、要確認
取扱商品
テーラードジャケット、Tシャツ、ショートパンツ等の古着(メンズ・レディース)、アクセサリー・靴・バッグ等の小物
価格帯
1,000円〜4,800円程度
決済方法
現金、クレジットカード、交通系IC、ID、クイックペイ、QRコード決済各種(一部準備中のものあり)
公式情報
公式Instagram「@nine_rover」
この物件の変遷:お茶漬け風テイクアウト→プリン→古着、3代替わりの立地

NINE ROVERが入居する綱島西1-10-19の物件は、実は過去数年で業態が目まぐるしく入れ替わってきた場所です。地域メディアの記事を確認すると、まず2022年2月9日に「割烹職人のプチごち味噌汁とDKG(だしかけごはん)一粋」というテイクアウト専門店がオープンしています。これは2014年開業の和食店「一粋」が、味噌汁とだしかけごはん(DKG)に特化したテイクアウト業態へ転換した店舗で、具材と出汁を選んで電子レンジで温めるだけという、いわば「お茶漬けに近い」手軽な和食スタイルでした。しかし公式の閉店告知によると、このテイクアウト業態は2022年8月31日をもって閉店しています。

その後、跡地には2023年3月21日、地元のこだわり卵を使ったプリン専門店「ぷ。ぷりん。」がオープンしました。テイクアウト中心のプリン・コーヒー店として一定期間営業していたようですが、地域ブログの記事によると2025年3月時点でシャッターが閉まった状態が確認されており、看板も外されていたことから、この時期に閉店したと考えられます。そして同じ跡地に、2025年3月10日、古着屋「NINE ROVER」がオープンした、というのがこの物件のこれまでの流れです。約3年の間に「和食テイクアウト→プリン専門店→古着屋」と、業種の異なる3つのお店が入れ替わってきた、という点は、この立地を分析するうえで見過ごせないポイントです。

期間 業態 備考
2022年2月〜2022年8月 割烹職人のプチごち味噌汁とDKG 一粋(テイクアウト専門店) だしかけごはん(お茶漬け風)と味噌汁のテイクアウト。約半年で閉店
2023年3月〜2025年頃 ぷ。ぷりん。(プリン専門店) 地元卵使用のプリン・コーヒーのテイクアウト店。約2年で営業終了と見られる
2025年3月〜 NINE ROVER(古着屋) 現在営業中。ご夫婦経営、不定休
店舗立地研究所が「うまい」と感じた3つのポイント
1.「回転率」ではなく「一点物との出会い」で稼ぐ発想

これまでこの物件に入っていたテイクアウト業態は、いずれも「毎日ちょっと立ち寄る」タイプの店舗でした。古着は来店頻度より「今日何が置いてあるか」という発見価値で勝負する業態で、テイクアウト業態が定着しなかった立地に、来店の”質”を重視する業態を持ち込んだのは合理的な選択だったと考えられます。

2.不定休だからこそ成立する、小規模経営の身軽さ

公式Instagramによれば、NINE ROVERの営業は不定休で、その都度SNSで告知されるスタイルです。固定の営業時間を維持するコストや人員を抑えられるため、ご夫婦2人という小規模体制でも無理なく続けられる構造になっていると考えられます。

3.フォロワー特典によるSNS起点のリピーター設計

Instagramフォローで会計時100円引きという特典は、「営業日を確認するためにフォローする」という行動と来店動機を結びつける仕組みです。不定休店舗にとって、SNS発信自体が集客の生命線であることを踏まえると、この設計は小規模店舗ならではの工夫だと感じます。

立地分析:綱島は「昼間流出型・地域密着型」の住宅地商圏

店舗立地研究所が整理した綱島駅半径1km圏のデータでは、夜間人口49,282人、昼間人口30,077人、昼夜比約0.61という数値が示されています。これは、昼間は就業・通学で外出する住民が多く、夕方以降や休日に地元での消費が活発になる、典型的な「居住者中心型・地域密着商圏」であることを表しています。総世帯数は25,872世帯で、1人世帯比率45.2%とやや高めながら、2〜4人のファミリー世帯も合計で26.7%を占め、東横線沿線の中でも世代バランスの取れたエリアです。高所得世帯比率(年収700万円以上)は31.4%と全国平均の約1.6倍に達しており、「手頃だけど上質」な古着を求める購買力のある層が一定数存在すると考えられます。

綱島駅1km圏の指標 公開値 NINE ROVERへの読み替え
昼夜比 約0.61(昼間流出型) 平日夕方以降・休日の来店が中心になりやすく、不定休スタイルとの相性が良い構造です。
高所得世帯比率 31.4%(年収700万円以上) 「安いだけ」ではなく、状態の良い一点物にお金を払う層が一定数見込めます。
1人世帯比率 45.2% 自分のためにじっくり服を選ぶ単身層の需要と相性が良いと考えられます。
飲食店数 209店舗 飲食店の入れ替わりが激しい商圏の中で、物販という異業種を選んだことが差別化になっている可能性があります。

※駅別数値は国勢調査、経済センサス等を基礎として店舗立地研究所が整理した半径1km圏の公開値です。統計項目により基準年が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。

さらに広がりそうな3つの顧客層

ここからは、店舗の現在の顧客構成や実施状況を確認したものではなく、公開情報と商圏特性から考えられる今後の可能性です。すでに実施されている取組が含まれる可能性があります。

1.オフィスカジュアルを探す働き盛り世代

綱島駅商圏は35〜49歳の働き盛り世代が厚いエリアです。テーラードジャケットなど「仕事にも使える古着」を中心に据えた品揃えは、このボリューム層のニーズに直接応える設計だと考えられます。

2.単身層の「自分だけの一着」需要

1人世帯比率45.2%という数値を踏まえると、休日にじっくり時間をかけて自分の一着を探しに来る単身層の需要が一定数見込めそうです。試着スペースを設けている点も、こうした層にとって利用しやすい要素だと考えられます。

3.親子・ファミリー層の「気軽な古着デビュー」需要

地域メディアの取材記事では「学生さんから社会人、ファミリーの方まで大歓迎」というお店からの紹介文が引用されています。リーズナブルな価格帯と小物からの入りやすさを踏まえると、これまで古着に馴染みのなかったファミリー層の入口としての需要も広がる余地がありそうです。

もっと認知を広げるなら考えられること
「本日営業中」の分かりやすい発信の継続

不定休スタイルの店舗にとって、最大の課題は「今日開いているかどうか」が伝わりにくいことです。Instagramでの営業日告知に加え、店頭サイネージやストーリーズでのリアルタイム発信を継続することで、通りがかりの人にも営業状況が伝わりやすくなりそうです。

「この物件の歴史」を逆手に取った発信

お茶漬け風テイクアウト、プリン専門店と業態が入れ替わってきたこの場所で、古着屋として腰を据えて営業を続けていくこと自体が、地域住民にとって一つの話題になり得ます。「あの物件、今度は古着屋さんで頑張ってます」という文脈での発信も、認知拡大の一つの手がかりになりそうです。

店舗経営の視点:小規模物販店を支える制度も検討余地

原材料費、人件費、賃借コストが上昇するなか、小規模な物販業態にとっても、販路拡大や業務効率化を支える制度は有効な選択肢です。以下はNINE ROVERが現在必要としている、または各制度を利用できると判断したものではありません。同様の小規模古着店・セレクトショップが今後の展開を検討する際の一般的な選択肢です。

販路開拓

SNS発信の強化やECサイト・フリマアプリとの連携、店頭ディスプレイの改良などは、事業計画と公募要件に合えば、小規模事業者持続化補助金等の検討対象になる場合があります。

在庫管理・キャッシュレス対応の効率化

一点物の在庫管理システムや、QRコード決済端末の追加導入など、業務効率化のための投資は、デジタル化・AI導入補助金等を検討できる場合があります。

内装・改装投資

コンパクトな店内をより効果的に見せるための陳列・照明改善などの改装投資は、創業融資や自治体の店舗改装支援施策の対象になり得る場合があります。

補助金は「使えるものを探す」より、必要な投資から逆算する

補助金は、採択や交付決定が約束されるものではなく、申請前に契約・発注・支払いをすると対象外になる制度もあります。まず事業の課題と必要な投資を整理し、その後に対象制度、公募期間、補助対象経費を確認する順番が重要です。2026年7月時点では、小規模事業者の販路開拓等を支援する小規模事業者持続化補助金、ITツールの導入費用の一部を支援するデジタル化・AI導入補助金2026などがあります。募集期間、予算残額、対象経費などは変わるため、必ず申請時点の公式情報を確認する必要があります。

【街の店舗分析まとめ】綱島で”入れ替わりの物件”に根を張ろうとするお店

NINE ROVERの面白さは、テーラードジャケットを中心とした確かなセレクトそのものだけではありません。「お茶漬け風テイクアウト→プリン→古着」と、業種を変えながら短命に終わってきた物件に、あえて回転率よりも一点物との出会いを重視する業態を持ち込んだこと。不定休というスタイルで、ご夫婦2人という小規模体制を無理なく維持していること。フォロワー特典によって、SNSと来店動機を結びつけていること。一つひとつの工夫が、綱島という住宅地商圏の中で、この場所に長く根を張ろうとする姿勢につながっているのだと感じます。綱島駅商圏は高所得世帯比率が高く、働き盛り世代も厚いエリアです。この商圏特性と、「じっくり選ぶ」古着という業態の相性を踏まえると、NINE ROVERがこの入れ替わりの多かった物件で、これまでより長く営業を続けていく可能性は十分にあるのではないでしょうか。

地域のお店を、商圏データと一緒に紹介します

店舗立地研究所では、飲食店、物販店、美容サロン、整体・リラクゼーション、パーソナルジムなど、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。

掲載・取材をご希望の店舗様は、公式LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。店舗の出店・移転・商圏分析、事業計画、資金調達、補助金活用、集客、省力化のご相談についても対応しております。

公式LINEで相談する
お問い合わせはこちら

関連記事
出典・確認資料

執筆・分析:太田 満/編集:店舗立地研究所編集部

本記事は店舗の優劣や経営状態を格付けするものではありません。公開情報と商圏データを用いて、地域店舗の魅力と立地・店舗経営上の可能性を独自に考察したものです。売上、利益、実際の顧客構成等を推定・保証するものではありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

太田 満のアバター 太田 満 店舗立地研究所及び合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ代表

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ 代表社員
店舗立地研究所 代表

株式会社みずほ銀行にて16年間、数百社の中小企業オーナー・個人事業主の渉外・融資審査・経営相談業務に従事。
2021年独立後は創業支援・店舗出店支援を多数手がける現役コンサルティング会社代表。

専門は店舗事業の商圏(エリア)分析。2,000以上のエリア分析を実施し、「負けない店舗経営」「失敗しないフランチャイズ選び」を支援中。

資格:中小企業診断士・宅地建物取引士・フランチャイズオーガナイザーのほか、賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・不動産証券化マスター・M&Aシニアエキスパートなどの資格も保有。

第19回(2026年4月30日締切)小規模事業者持続化補助金の申請者に対して、KLA(KDDI Location Analyzer)を用いた自社商圏分析サポートを実施。

その他、税理士事務所様などと共催の補助金セミナーなども行っており、店舗立地や補助金などのセミナー依頼も、公式LINEからお気軽にお問い合わせくださいませ。

コメント

コメントする