鶴見から新綱島へ。美容師夫婦が紡いだクレープ店「chanmo」、再起の物語を分析
横浜市港北区樽町、新綱島駅から徒歩約11分・綱島駅から徒歩約15分。木の温もりとやさしい薄緑色のドアが目印のクレープ&ジェラート店「chanmo(チャンモー)」は、2024年夏、鶴見の店舗ビルが取り壊されるという突然の試練を経て、同年12月に現在の場所で再スタートを切りました。もともと美容師だったご主人が「お菓子を売りたい」という思いから始めたこの店は、奥様との二人三脚と地域との温かい関わりの中で、綱島エリアにしっかりと根を張ろうとしています。今回は、その歩みと魅力を、商圏データとともに紹介します。
2024年12月移転オープン
元・美容師のご主人が創業
夫婦二人三脚経営
クレープ体験会など地域交流イベントも主催
店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なるグルメ紹介や店舗の格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、この業態が支持されるのか」を考えます。
今回ご紹介する「chanmo」は、弊社の公式Instagramをフォローしてくださっているご縁がある店舗です。地元・綱島エリアで頑張っておられる姿を拝見し、ぜひその魅力を多くの方に知っていただきたいという思いから、今回取り上げさせていただきました。
先に結論:「chanmo」は、突然の立ち退きという逆境を、夫婦二人の力で乗り越えて再スタートを切った、綱島エリアの温かいクレープ・ジェラート店です。その最大の魅力は、味やメニューの豊富さだけでなく、元美容師という異色の経歴を持つご主人が「お菓子を売りたい」という思いから始めた店であること、そして店名に込められた子ども想いのストーリー、地域と積極的に関わろうとする姿勢にあります。単なる甘いもの屋さんという以上に、「人」の物語がしっかりと感じられる店だという点が、この店を特別なものにしています。
chanmo(チャンモー)は、神奈川県横浜市港北区樽町2-2-21の1階に位置し、東急新横浜線「新綱島駅」から徒歩約11分(食べログ表記では541m)、東急東横線「綱島駅」からも徒歩約15分というアクセスの店です。大綱橋を渡って大倉山方面へ向かう通り沿いにあり、広い道路に面した郊外店の並ぶエリアの中で、木の温もりと薄緑色のドアが目を引く、どこか「秘密基地」のような外観が特徴です。営業時間は11:00〜18:30、定休日は月曜・火曜となっています。
もともとは横浜市鶴見区鶴見中央にあった店で、2019年の開業以来、地元密着の店として親しまれてきました。しかし2024年夏、入居していたテナントビルの解体が決まり、急な立ち退きを迫られることになります。ご主人・奥様は「目の前が真っ暗になった」と振り返るほどの試練でしたが、幸いにも綱島に移転先が見つかり、約半年をかけて2024年12月、現在の樽町の店舗で再オープンを果たしました。瓦礫同然だった内装は、ご夫婦自らの手で一からリノベーションされ、以前の店にはなかったイートインスペースも新たに設けられました。
- 店舗名
- chanmo(チャンモー)
- 所在地
- 神奈川県横浜市港北区樽町2-2-21 1階
- アクセス
- 東急新横浜線「新綱島駅」から徒歩約11分、東急東横線「綱島駅」から徒歩約15分
- 移転再開業日
- 2024年12月(前身は横浜市鶴見区にて2019年開業)
- 業態
- クレープ・ジェラート専門店(カヌレも不定期販売)
- 営業時間
- 11:00〜18:30
- 定休日
- 月曜・火曜
- 座席
- イートインスペースあり(ベビーカーでの入店も可能な広さ)
- 体制
- ご主人(元美容師)と奥様の二人三脚経営
- 決済方法
- カード可、電子マネー可、QRコード決済可
- 電話
- 080-8495-0906
- 公式情報
- Instagram(@chanmo_gelato)/食べログ
chanmoの物語のはじまりは、実は美容室の隣にありました。移転前、ご主人は美容師として働きながら、心のどこかで「お菓子を売りたい」という思いを抱えていたといいます。ある日、思い立ったように美容室の横にジェラート店を開き、届いたショーケースを見て奥様が驚いたというエピソードは、事業計画から緻密に組み立てられた出店ではなく、まっすぐな「やってみたい」という気持ちから始まったお店であることを物語っています。商店街という場所柄もあり、たちまち「鶴見唯一のジェラート店」として地域に定着し、その後クレープの販売も始まりました。
クレープの味づくりにおいても、既存の人気クレープ店の味わいを参考にしながらも、「これが一番おいしい」と思える味にたどり着くまで何度も試作を重ねたといいます。その結果生まれたのが、具材がたっぷり盛られていても重くならず、最後まで飽きずに食べられる、今の理想の生地です。プロの菓子職人としての王道の道を歩んできたわけではないからこそ、既存の枠にとらわれず、自分たちの舌で納得できる味を追い求めてきたという姿勢に、この店ならではの誠実さが表れています。
「移転前、ご主人は美容師として働く傍ら『お菓子を売りたい』という気持ちがあったといい、思い立ったように美容室の横にジェラート店を開いた。移転前、奥様は驚いたそう。」
――cake.tokyo「【クレープの日】欲張りさん大歓迎!夢に彩られたお店『chanmo』」より
2024年夏、鶴見の店舗はテナントビルの解体という、店側の都合ではどうにもならない事情によって、急な立ち退きを迎えることになります。「寝耳に水」だったというこの出来事に、ご夫婦は一時「これからどうしようか」と目の前が真っ暗になったといいます。しかし、諦めずに次の場所を探し続けた結果、綱島に移転先が見つかり、約半年という決して長くない準備期間で再スタートを切ることに成功しました。
新店舗の内装は、瓦礫同然だった室内を、ご夫婦自らの手で一からリノベーションしたものです。奥行きを活かして新たにイートインスペースを設け、この辺りに多いファミリー層が日中ゆったりと過ごせるよう、ベビーカーでの入店も可能な広めの造りにしています。時計や手作りのベンチなど、ご主人の遊び心が光る手づくりの装飾も随所に見られ、「秘密基地」のような外観の奥に、家族や友人を思いやる温かい空間が広がっています。逆境から再び立ち上がり、しかもその過程を自分たちの手で丁寧に作り上げていくという姿勢は、地域で長く愛される店に共通する強さだと感じられます。
「突然の逆境」×「自分たちの手で作り直す」という物語性。移転や閉店といった出来事は、ともすればネガティブな話題として消費されがちですが、chanmoの場合はむしろ、その後の再起の過程そのものが店の個性と結びついています。困難を乗り越えて再開したという背景を知ってから食べるクレープは、また違った味わいがあるはずです。
「chanmo」という少し不思議な響きの店名にも、心温まる由来があります。ご主人の子どもが、誰かの持ち物を見て口癖のように「〇〇ちゃんもー!」とせがむ様子が愛おしく、「誰もが同じようにおいしく食べられるように」という思いを込めて、この店名が付けられたといいます。単に語感の良さだけで選ばれた名前ではなく、家族の日常の中から生まれた、身近な温かさを感じさせるネーミングです。
この「誰にでも」という思想は、メニュー展開にも表れています。あんこや黒蜜きなこなど和素材を使った季節限定クレープから、お好み焼きやチリドッグといった変わり種のおかず系クレープ、コーヒーリキュールを効かせた「大人ティラミス」のような年齢層を意識した一杯まで、幅広い客層それぞれが「自分にもおいしいものがある」と感じられるラインナップが用意されています。定番メニューだけでも種類が非常に豊富で、初めて訪れる人は目移りしてしまうほどだと、複数の取材記事で紹介されています。
「自身の子供が口癖のように『〇〇ちゃんもー!』と誰かの物を欲しがっている様子が愛おしく、誰もが同じようにおいしく食べられるようにとの思いを込めて店名を『chanmo(チャンモー)』と名付けたそう。」
――cake.tokyo「【クレープの日】欲張りさん大歓迎!夢に彩られたお店『chanmo』」より
chanmoは、単に商品を販売するだけの店ではなく、地域との関わりを大切にしている点も特筆すべき魅力です。公式Instagramでは「クレープ作り体験会」の開催報告が見られ、地域交流イベントの中で子どもたちと保護者、スタッフが一緒にクレープ作りを楽しんだ様子が紹介されています。下町らしい人と人の繋がりが残る綱島の土地柄を大切にし、やさしく迎え入れてくれた地域の人たちを巻き込みながら、楽しいことを共有したいという思いで、こうした企画やお祭りへの参加を続けているといいます。
取材時にも、子どもたちと自然に挨拶を交わすご主人・奥様の姿から、すでにこの街にしっかりと馴染んでいる様子がうかがえたと報じられています。移転してきたばかりの新参者ではなく、地域の一員として受け入れられている実感のある関わり方は、住宅密着型の商圏で長く愛される店になるための、大切な土台になっていると考えられます。
店舗立地研究所が整理した綱島駅半径1km圏のデータでは、夜間人口49,282人に対し昼間人口30,077人、昼夜比約0.61という「典型的な住宅地型」の構造が示されています。東急新横浜線・新綱島駅が2023年3月に開業したことで、新横浜・渋谷・池袋方面への直通アクセスが向上し、通勤・通学で外出する住民が多い一方、夕方以降や休日には地元での消費が中心となる、地域密着型の商圏です。総世帯数25,872世帯のうち高所得世帯比率が31.4%に達し、共同住宅比率も79.0%と、共働き・ファミリー層を中心とした住みやすいエリアとしての性格が強く表れています。
推計商業人口57,351人は夜間人口の約1.16倍で、横浜駅のような広域集客型ターミナルとは異なり、「居住者の日常消費を確実に取り込む」タイプの商圏だと分析されます。この構造を踏まえると、chanmoが提供する「ベビーカーでも入りやすいイートインスペース」「変わり種を含む幅広いメニュー」「地域交流イベント」という要素は、まさにこの商圏のファミリー層・地域住民のニーズに合致した店づくりだと言えます。2026年度下期には綱島駅東口で地上27階建ての再開発ビルが竣工予定であり、新綱島スクエアの全面稼働と合わせて、このエリアの商業ポテンシャルは今後さらに高まっていくと見込まれています。
| 綱島駅1km圏の指標 | 公開値 | 「chanmo」への読み替え |
|---|---|---|
| 昼夜人口比 | 0.61(昼間流出型・住宅地商圏) | 夕方以降・休日の地元消費が中心となる商圏で、家族での立ち寄りに向いた業態です。 |
| 高所得世帯比率 | 31.4%(年収700万円以上) | 手頃な価格帯のクレープ・ジェラートは、幅広い世帯に受け入れられやすい価格設計です。 |
| 共同住宅比率 | 79.0% | 子育て世帯の多いエリアであり、ベビーカー対応のイートインは強みになります。 |
| 来街倍率 | 約1.16倍(地域密着型) | 地元での認知・口コミの積み重ねが、来店動機の中心になる商圏です。 |
| 再開発の進行度 | 新綱島スクエア開業済、駅東口再開発ビル2026年度下期竣工予定 | エリア全体の人流増加が、今後の来店機会の拡大につながる可能性があります。 |
※綱島駅の商圏データは、国勢調査・経済センサス等を基礎として店舗立地研究所が整理した半径1km圏の公開値です。統計項目により基準年が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。
プロの菓子職人としての経歴を持たないご主人が、美容師業の傍らで始めたお菓子店という出自は、この店の親しみやすさと誠実な味づくりの原点になっています。
突然の立ち退きという困難を、約半年という短期間で乗り越え、しかも内装まで自分たちの手で作り上げたという行動力は、地域で長く続く店に共通する粘り強さを感じさせます。
クレープ体験会などのイベントを通じて地域と積極的に関わろうとする姿勢は、単なる物販店を超えた、地域コミュニティの一部としての存在感を築いています。
「chanmo」は、美容師だったご主人の「お菓子を売りたい」という素直な思いから生まれ、鶴見での5年間の営業、突然の立ち退きという試練、そして綱島での再起という、決して平坦ではない道のりを歩んできたお店です。しかし、その一つひとつの出来事が、夫婦二人三脚の温かい店づくりと、「誰もが同じようにおいしく食べられるように」という店名に込められた思いへとつながり、結果として綱島の地域住民に寄り添う、個性豊かなクレープ・ジェラート店として結実しています。豊富なメニュー、地域交流イベントへの取り組み、そして何より逆境を越えてきたという物語性は、住宅密着型の商圏で長く愛される店に必要な要素を、すでに十分に備えていると感じられます。
今回は公開情報をもとにした分析記事としてご紹介しましたが、正直に申し上げると、記事を書きながら何度も「これは絶対に食べに行きたい」と思わされました。季節限定のクレープやハンドメイド感のある店内の雰囲気は、写真だけでも十分に魅力が伝わってきます。近いうちに実際に店頭に足を運んで、実食した感想を写真付きで改めてレポートしたいと思っておりますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。
店舗立地研究所では、飲食店、美容サロン、整体・リラクゼーション、パーソナルジムなど、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。
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- cake.tokyo「【クレープの日】欲張りさん大歓迎!夢に彩られたお店『chanmo』」(移転の経緯、ご主人の経歴、店名の由来、内装のエピソード)
- チャンモー|食べログ(新綱島)(住所、営業時間、アクセス、移転履歴)
- 相鉄アーバンクリエイツ公式ブログ「新綱島『chanmo』」紹介記事(メニュー内容、イートインスペースの様子)
- chanmo 公式Instagram(@chanmo_gelato)(クレープ体験会等の地域交流イベント情報)
- 鶴見グルメ紹介サイト「チャンモー」記事(鶴見時代の営業状況、閉店の経緯)
- 店舗立地研究所「綱島駅商圏データ完全公開」(綱島駅1km圏データ)


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