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大倉山駅徒歩1分半「katak tea」の一等立地はなぜ実現したのか?住居系アパート1階×国産茶専門店を立地から分析

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街の店舗分析|シリーズ第5回・立地戦略比較編

大倉山駅徒歩1分半「katak tea」の一等立地はなぜ実現したのか?住居系アパート1階×国産茶専門店を立地から分析

大倉山駅からわずか徒歩1分半、2026年7月11日にオープンした国産茶葉専門店「katak tea」。急須で淹れる日本茶にグルテンフリー・ヴィーガンのサイドメニューを合わせるという専門特化と、17年間営業したスペイン料理店の後継として住居系アパートの1階に入るという珍しい立地選択が特徴です。以前の記事で取り上げた同じ大倉山の「マサラモア」が固定物件での常設営業を選んだのに対し、katak teaは駅前一等立地×極端な業態特化という、もう一つの戦略を取っています。今回は、この立地戦略の違いを軸に、店舗立地研究所が独自に分析します。

大倉山駅徒歩1分半
住居系アパート1階への出店
国産茶葉専門店
グルテンフリー・ヴィーガン対応
公開情報による独自分析
「街の店舗分析」とは

店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なるグルメ紹介や店舗の格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、この業態が支持されるのか」を考えます。

公開情報をもとにした分析では、確認できた事実と店舗立地研究所による考察・提案を区別して掲載します。店舗への取材が実現した場合は、オーナーの声や現地で確認した情報を加えた「リアル店舗レポート」として、さらに詳しくご紹介します。

先に結論:katak teaは、「駅前一等立地」を選び、その分を「極端な業態特化」で正当化している店舗です。

大倉山駅から徒歩1分半という、飲食店・小売店にとって最も競争力のある立地条件を確保した一方で、katak teaは緑茶・紅茶・烏龍茶など国産茶葉に特化し、コーヒーも軽食も置かないという極端な専門特化を選んでいます。一等立地は本来、幅広い顧客層を取り込める汎用性の高い業態が向くとされますが、katak teaはあえてその逆を行っています。以前取り上げたマサラモア(大倉山駅徒歩3分)が「常設×週6日営業」という腰を据えた戦略だったのに対し、katak teaは「一等立地×専門特化」という、もう一つの合理的な選択を体現しているように見えます。

katak teaはどんなお店?

katak tea(カタクティー)は、神奈川県横浜市港北区大倉山3丁目1-19、東急東横線・大倉山駅から徒歩1分半(食べログ表記では75〜76m)の場所にある日本茶専門カフェです。2026年7月11日にオープンし、営業時間は10:00〜18:00、定休日は火曜日となっています。店名の「katak」はアイヌ語で「糸玉」を意味し、生産者と客をつなぐ「絆の起点」を目指す店であることが公式サイトで説明されています。

メニューは緑茶・番茶・烏龍茶・白茶・漢方茶・紅茶など多様な国産茶葉を、急須を使って提供する形式です。冷たいお茶は透明な急須で1杯(200ml)800円から、温かいお茶は急須1杯(150ml)と2煎目の湯付きで800円から、希少性の高い白茶は5,000円という価格帯まで幅を持たせています。サイドメニューにはお漬物、ガトーショコラ、マフィン、お茶漬けなどがあり、公式サイトでは「グルテンフリー・ヴィーガンに基づいた、誰もが安心して囲める食卓」を掲げています。運営元は合同会社katakで、2023年にアイヌ工芸家の関根真紀氏・摩耶氏の母娘が立ち上げた会社です。北海道沙流川流域に伝わるアイヌの伝統工芸を今に伝えることを目的とした企業で、姉妹事業として「katak bee」も展開しています。

店舗名
katak tea(カタクティー)
所在地
神奈川県横浜市港北区大倉山3-1-19 カサ・デ・ココ
アクセス
東急東横線・大倉山駅から徒歩1分半(公式サイト表記)
開業
2026年7月11日オープン
営業日時
10:00〜18:00、火曜定休(公開情報時点。詳細は要確認)
運営
合同会社katak(2023年設立、アイヌ工芸ブランドを展開)
主な商品
国産茶葉(緑茶・紅茶・烏龍茶・白茶・漢方茶など)、グルテンフリー・ヴィーガン対応のサイドメニュー
公式情報
公式サイト(katak tea)
マサラモアとの立地戦略比較

以前の記事で取り上げたマサラモア(大倉山駅東口徒歩3分の南インド料理専門店)は、固定物件を借り、週6日営業・駐車場ありという、腰を据えた常設店舗の形を選んでいました。katak teaは同じ大倉山エリアにありながら、駅からの距離をさらに縮め、徒歩1分半という一等立地を確保しています。ただし、その代わりに業態を国産茶葉一本に絞り込み、食事メニューやコーヒーは置かないという、極端な専門特化を選んでいる点が対照的です。どちらも大倉山という同じ商圏に根を張る常設店舗ですが、「立地の一等さ」と「業態の絞り込み度合い」という二つの軸で見ると、異なる戦略を取っていることが分かります。

比較項目 マサラモア(大倉山駅徒歩3分) katak tea(大倉山駅徒歩1分半)
駅からの距離 徒歩3分 徒歩1分半
業態の幅 ランチ・ディナー、カレー・ビリヤニ・南インド定食など複数商品 国産茶葉のみに特化(食事・コーヒーなし)
座席・設備 13席、駐車場あり 公開情報からは未確認
前身テナント 新規開業(2024年11月) スペイン料理店(17年間営業)の後継
立地の建物属性 商業ビル「大倉山シュロス」 住居系アパート「カサ・デ・ココ」の1階
両者の違いは、「立地の一等さ」を何で正当化するかという発想の違いです。
マサラモアは複数メニュー・長時間営業という「幅の広さ」で常設物件の固定費を正当化しているのに対し、katak teaは国産茶葉一本という「絞り込みの深さ」で一等立地の賃料を正当化しているように見えます。どちらが優れているというわけではなく、業態としての目指す方向性の違いが、立地選択の違いに表れていると考えられます。
「住居系アパートの1階」という立地の実態

katak teaが入る「カサ・デ・ココ」は、不動産情報サイトによると2008年12月築・木造3階建てのアパートです。つまりkatak teaは、大規模な商業ビルやテナントビルではなく、居住用途を主体とした建物の1階部分に入居しています。これは大倉山駅からわずか75m前後という一等立地でありながら、必ずしも「商業ビル1階」という一般的な想像とは異なる建物属性を持つという、意外性のある事実です。

この建物には、以前は「コスタ・デル・ソル」というスペイン料理店が入っていました。食べログの店舗情報によると、コスタ・デル・ソルは2009年4月4日にオープンし、火曜〜土曜は11:30〜13:30のランチと17:00〜22:00のディナー、日祝は17:00〜21:00までのディナー営業という体制で、14席の老舗レストランとして17年近く営業を続けた後、2026年3月24日に閉店しています。katak teaは、この長年地域に親しまれてきたスペイン料理店の後継として、同じ住居系アパートの1階に入居した形になります。

建物内のテナント構成について
「カサ・デ・ココ」内に他のテナントが同居しているかどうかについては、今回の調査では確度の高い一次情報を確認できませんでした。断定的な記載は避け、確認できた「katak teaが1階部分に入居している」という事実のみを本記事では採用しています。
立地分析:大倉山は「高所得×定住型」の住宅地商圏

店舗立地研究所が整理した大倉山駅半径1km圏のデータでは、夜間人口52,054人、昼間人口30,870人、昼夜比0.60という数値が示されています。これは大型商業施設やオフィスビル群をほとんど持たない、典型的な住宅地・ベッドタウン型商圏であることを表しています。総世帯数は25,233世帯で、1人世帯が43.3%と最大多数を占めながらも、2人以上世帯の合計が56.7%を占めるという「単身×ファミリー共存型」の構造です。住居形態では持ち家が54.9%(一戸建て24.0%)を占め、長期定住傾向の強い住宅地であることがうかがえます。さらに高所得世帯比率(年収700万円以上)は33.4%、年収1,000万円以上世帯は16.6%に達し、全国平均の約2倍という高い水準です。

この商圏構造を踏まえると、katak teaの立地選択には一定の合理性があるように見えます。来街倍率(商業人口÷夜間人口)は0.74倍と1倍を下回り、住民の購買力の多くが横浜駅や綱島・日吉・菊名などの近隣商業集積へ流出している実態があります。裏を返せば「地元で質の良いものを楽しみたい」という潜在需要が高く、高所得×定住傾向の強い住民層に向けて、コストコンシャスな低価格帯ではなく、品質と体験に価値を見出す価格設定(お茶1杯800円〜5,000円という幅)で専門特化した業態は、この商圏特性と噛み合っているのではないかと考えられます。

大倉山駅1km圏の指標 公開値 katak teaへの読み替え
昼夜比・来街倍率 昼夜比0.60/来街倍率0.74倍 地元購買力の流出が多く、「地元で質の良いお茶を楽しみたい」需要を取り込む余地が大きい構造です。
持ち家比率 54.9%(一戸建て24.0%) 長期定住者が多く、常連客を積み重ねるビジネスモデルが成立しやすい土壌です。
高所得世帯比率 33.4%(年収700万円以上) お茶1杯800円〜5,000円という幅のある価格設定にも、十分な購買力が見込めます。
世帯構成 1人世帯43.3%/2人以上世帯56.7% 1人でゆったりお茶を楽しむ利用と、複数人での利用の両方の需要を狙える構造です。

※ 駅別数値は2020年国勢調査、2021年経済センサス等を基礎として店舗立地研究所が整理した半径1km圏の公開値です。統計項目により基準年が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。

常識破りに見えて、実は考えられている経営判断
一等立地×専門特化という、あえての選択

一般的に、駅前一等立地は賃料が高くなる分、幅広い客層を取り込める汎用性の高い業態(コンビニ、カフェチェーン、ドラッグストアなど)が入ることが多いとされます。katak teaは、この一等立地に国産茶葉専門という極端に絞り込んだ業態で挑んでいる点で、一般的なセオリーとは異なる選択をしています。裏を返せば、専門特化によって「何のお店か分かりやすい」という強みを持つことは、地域に根づく個店にとって重要な戦略だと考えられます。

住居系建物という選択がもたらす柔軟性

純粋な商業ビルではなく住居系アパートの1階という立地は、一般的な商業テナントビルに比べて賃料や契約条件に柔軟性がある可能性があります。長年営業したスペイン料理店の後継として入居した経緯からも、この建物の1階部分が飲食店としての営業に適した設備を備えていたことがうかがえます。

さらに広がりそうな顧客層

ここからは、店舗の現在の顧客構成や実施状況を確認したものではなく、公開情報と商圏特性から考えられる今後の可能性です。すでに実施されている取組が含まれる可能性があります。

1.高所得定住層の「ちょっと贅沢なお茶時間」

高所得世帯比率33.4%という大倉山の特性を踏まえると、白茶5,000円のような高価格帯メニューを、特別な日のご褒美として楽しむ利用が広がる余地がありそうです。

2.駅前一等立地を生かした「ちょっと寄り道」需要

徒歩1分半という圧倒的なアクセスの良さは、通勤・通学の合間や買い物途中に立ち寄る「ついで利用」との相性が良いと考えられます。テイクアウト用のティーバッグ販売(500円・700円)は、こうした需要を取り込む設計になっているようです。

3.アイヌ工芸との掛け合わせによる体験価値

運営元がアイヌ工芸ブランドを展開する会社であることを踏まえると、店内でアイヌの茶器や工芸品に触れる体験を打ち出すことで、単なる「お茶の店」から一歩進んだ独自性を発信できる可能性があります。

もっと認知を広げるなら考えられること
「なぜアイヌ工芸の会社がお茶の店を」を発信する

合同会社katakがアイヌ工芸を出発点とする会社であるという背景は、単なる日本茶専門店という説明だけでは伝わらない独自のストーリーです。この背景を公式Instagram等で発信することは、来店動機の強化につながりそうです。

「17年続いた店の後継」という物語をもっと前面に出す

コスタ・デル・ソルが17年近く地域に親しまれた後の後継店であるという経緯は、地域住民にとって思い入れのあるストーリーになり得ます。単なる「新しい店」から「地域の記憶を引き継ぐ店」への進化が期待できそうです。

店舗経営の視点:常設専門店を支える制度も検討余地

原材料費、人件費、賃料コストが上昇するなか、常設の専門料理店にとっても、業務効率化や販路拡大を支える制度は有効な選択肢です。以下はkatak teaが現在必要としている、または各制度を利用できると判断したものではありません。同様の常設専門店が今後の展開を検討する際の一般的な選択肢です。

販路開拓

オンラインショップでの商品販売強化、予約システムの導入などは、事業計画と公募要件に合えば、小規模事業者持続化補助金等の検討対象になる場合があります。

仕込み環境・厨房設備の更新

急須を使った提供スタイルを維持するには、茶器の管理や湯温管理など特有の設備投資が必要です。必要に応じて設備投資を検討することも一案です。

デジタル化・情報発信の強化

予約管理、オンライン販売の効率化などにITツールを活用する場合、デジタル化・AI導入補助金等を検討できる場合があります。

補助金は「使えるものを探す」より、必要な投資から逆算する

補助金は、採択や交付決定が約束されるものではなく、申請前に契約・発注・支払いをすると対象外になる制度もあります。まず事業の課題と必要な投資を整理し、その後に対象制度、公募期間、補助対象経費を確認する順番が重要です。2026年7月時点では、小規模事業者の販路開拓等を支援する小規模事業者持続化補助金、ITツールの導入費用の一部を支援するデジタル化・AI導入補助金2026などがあります。募集期間、予算残額、対象経費などは変わるため、必ず申請時点の公式情報を確認する必要があります。

【街の店舗分析まとめ】

katak teaの面白さは、美味しそうな国産茶葉そのものだけではありません。駅前一等立地をあえて選び、その分業態を国産茶葉一本に絞り込むという発想、そして17年続いたスペイン料理店の後を継ぎ、住居系アパートの1階という珍しい立地で営業を始めるという経緯。一つひとつの選択が、大倉山という定住型・高所得住宅地の中で、長く通いたくなる店をつくっているのだと感じます。

以前取り上げたマサラモアが、固定物件×週6日営業という腰を据えた戦略で地元の信頼を積み重ねようとしていたのに対し、katak teaは駅前一等立地×極端な専門特化という、もう一つの合理的な選択を取っています。どちらが優れているというわけではなく、それぞれの店が目指す方向性に合わせた、合理的な立地・業態選択だと考えられます。同じスパイス料理という土俵で、こうも対照的な立地戦略が存在することは、店舗立地を考える上で非常に興味深い比較材料だと感じます。

正直なところ、私自身はまだこのお店を訪れたことがありません。ぜひ近いうちに大倉山へ足を運び、急須で淹れる国産茶葉を実際に味わってみたいと思っています。そして、もし取材の機会をいただけましたら、なぜ駅前一等立地で専門特化を選んだのか、住居系アパートの1階という立地になった経緯、そして前身のスペイン料理店から受け継いだ思いを直接お伺いし、改めて記事としてお届けできればと思っております。

地域のお店を、商圏データと一緒に紹介します

店舗立地研究所では、飲食店、美容サロン、整体・リラクゼーション、パーソナルジムなど、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。

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出典・確認資料

執筆・分析:太田 満/編集:店舗立地研究所編集部

本記事は店舗の優劣や経営状態を評価するものではありません。公開情報と商圏データを用いて、地域店舗の魅力と立地・店舗経営上の可能性を独自に考察したものです。売上、利益、実際の顧客構成等を推定・保証するものではありません。

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この記事を書いた人

太田 満のアバター 太田 満 店舗立地研究所及び合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ代表

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ 代表社員
店舗立地研究所 代表

株式会社みずほ銀行にて16年間、数百社の中小企業オーナー・個人事業主の渉外・融資審査・経営相談業務に従事。
2021年独立後は創業支援・店舗出店支援を多数手がける現役コンサルティング会社代表。

専門は店舗事業の商圏(エリア)分析。2,000以上のエリア分析を実施し、「負けない店舗経営」「失敗しないフランチャイズ選び」を支援中。

資格:中小企業診断士・宅地建物取引士・フランチャイズオーガナイザーのほか、賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・不動産証券化マスター・M&Aシニアエキスパートなどの資格も保有。

第19回(2026年4月30日締切)小規模事業者持続化補助金の申請者に対して、KLA(KDDI Location Analyzer)を用いた自社商圏分析サポートを実施。

その他、税理士事務所様などと共催の補助金セミナーなども行っており、店舗立地や補助金などのセミナー依頼も、公式LINEからお気軽にお問い合わせくださいませ。

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