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キッチンカーから固定店舗へ。綱島小学校前「PIZZERIA Sassy」は移転でどう進化したのか

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街の店舗分析|公開情報編・移転リニューアル編

キッチンカーから固定店舗へ。
綱島小学校前「PIZZERIA Sassy」は移転でどう進化したのか

令和元年、綱島西の裏通り「裏綱島(URATSUNA)」でキッチンカー営業として始まった本格ナポリピッツァ店「PIZZERIA Sassy(ピッツェリア サッシー)」。2025年7月にキッチンカー営業を終え、同年10月1日、綱島小学校の正門横に固定店舗として移転オープンしました。駅からのアクセスが良くなり、通学路という誰もが通る場所に立地を移したことで、隠れ家的だったお店は、より多くの人の目に留まる存在へと生まれ変わっています。公開情報と綱島駅の商圏データから、店舗立地研究所がこの移転の意味を独自に読み解きます。

綱島駅徒歩4〜5分・綱島小学校前
ナポリピッツァ専門店
2025年10月1日 固定店舗として移転オープン
令和元年6月2日キッチンカーとして創業
公開情報による独自分析
「街の店舗分析」とは

店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なるグルメ紹介や店舗の格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、この業態が支持されるのか」を考えます。

公開情報をもとにした分析では、確認できた事実と店舗立地研究所による考察・提案を区別して掲載します。店舗への取材が実現した場合は、オーナーの声や現地で確認した情報を加えた「リアル店舗レポート」として、さらに詳しくご紹介します。今回は、これまでの新規開業・老舗継続・FC展開に続き、「キッチンカーから固定店舗への転換」という業態転換型の移転を分析対象としました。

先に結論:PIZZERIA Sassyは、「隠れ家であること」を捨てて「見つけてもらう場所」へ移ることで、次のファンを広げようとしています。

裏綱島の細い住宅地にひっそりと店を構えていた頃のSassyは、知る人だけが通う「わざわざ食べにくる」タイプのお店でした。それが2025年10月、綱島小学校前という誰もが通る場所へ移転したことで、通学路の景色の一部になり、これまで店を知らなかった家族層にも自然と視界に入る存在になっています。キッチンカーという身軽な業態から固定店舗へ移ったこの決断が、綱島という商圏の中でどのような意味を持つのかを見ていきます。

PIZZERIA Sassyはどんなお店?

PIZZERIA Sassyは、神奈川県横浜市港北区綱島西3-3-13、東急東横線「綱島駅」から徒歩4〜5分(食べログ表記440m)、綱島小学校の正門横に立地するナポリピッツァ専門店です。公式Xによると令和元年(2019年)6月2日、綱島西の裏通り「裏綱島(URATSUNA)」を舞台にキッチンカー形式での営業からスタートしました。薄く伸ばした生地を目の前で焼き上げる本格ナポリピッツァと、店主自らハットをかぶって迎えてくれる気さくな接客が、地元では「わざわざ食べにくる価値のあるピザ」として静かに支持を広げていたお店です。

2025年7月24日、公式Xにて突然キッチンカー営業の終了が発表されましたが、約2ヶ月後の同年9月24日、「10月1日(水)11時30分〜通常営業を再開する」という告知が投稿され、綱島西3-3-13、綱島小学校前にあった「あまの屋 丼丸 綱島店」の跡地にて、固定店舗として移転オープンを果たしました。裏通りの一角から、駅からのアクセスも良く、通学路という開けた場所への移転は、単なる引っ越しというよりも、業態そのものの見直しを伴う転換だったと考えられます。なお、移転オープンに合わせてメニュー表も更新され、公式Xでは「物価高騰の為、誠に心苦しいですが価格変更いたします。キッチンカーの時より100円値上げいたしました」との案内がありました。

店舗名
PIZZERIA Sassy(ピッツェリア サッシー)
所在地
神奈川県横浜市港北区綱島西3-3-13
アクセス
東急東横線「綱島駅」から徒歩4〜5分(440m)、綱島小学校正門横
創業/移転
令和元年6月2日キッチンカー形式で創業(裏綱島)→2025年7月キッチンカー営業終了→2025年10月1日、現在地に固定店舗として移転オープン
業態
ナポリピッツァ専門店(イートイン・テイクアウト両対応)
営業時間
火・水・金・土 11:30〜13:30/16:30〜19:30、日・祝日 11:30〜13:30/15:00〜18:00(月・木定休、売り切れ次第終了)
決済方法
現金のみ(電子マネー不可)
メニュー
マルゲリータ・ビアンカ・マリナーラを基本に、26cm/23cmの2サイズ展開。ハーフ&ハーフやチーズ増しなどのトッピングも可能
公式情報
公式X(旧Twitter)「pizzeria sassy」食べログ「PIZZERIA Sassy」
店舗立地研究所が「うまい」と感じた3つのポイント
1.キッチンカーで実力を磨いてから固定店舗へ

令和元年からキッチンカーとして地元に浸透させ、その実力とファンを蓄積した上で固定店舗に移行するという段階的な出店は、初期投資のリスクを抑えながら地域での認知を先に固める、堅実な進め方だと考えられます。

2.「駅から遠くても通う店」から「駅前で目に入る店」への転換

裏綱島という隠れ家的な立地から、駅に近く通学路沿いという開けた立地へ移ったことで、これまで気づかなかった通行人にも自然に見つけてもらえる店へと変わっています。

3.値上げの理由を正直に発信する姿勢

公式Xで「物価高騰の為、心苦しいですが価格変更いたします」と率直に案内する姿勢は、常連客との信頼関係を大切にしてきたお店らしい、丁寧なコミュニケーションだと感じます。

シリーズこれまでの店舗との違いに見る、移転リニューアルの独自性

店舗立地研究所ではこれまで、跡地を引き継いだ「Kayagi」、10年続く老舗「NINE 綱島店」、そして仕組み化されたFCモデルの「spoonful tokyo 日吉店」を分析してきました。PIZZERIA Sassyはこれらのいずれとも異なる「同じ店が、業態を変えながら移転する」という独自のパターンを持っています。跡地を引き継ぐKayagiとは異なり、Sassyは自分自身の店を、キッチンカーという身軽な形態から固定店舗という腰を据えた形態へと進化させました。老舗のNINEのように同じ場所で10年関係を積み重ねるのとも違い、Sassyは立地そのものを変えることで新しい関係構築のフェーズに入ったと言えます。

比較項目 Kayagi(跡地継承型) NINE(老舗継続型) PIZZERIA Sassy(業態転換移転型)
変化の種類 先代の店を引き継ぐ 同じ場所で関係を積み重ねる 自店の業態・立地を変えて進化する
リスクの取り方 既存客からの信頼を継承 長期的な関係で安定を維持 キッチンカーで実績を作った後に固定店舗へ投資
立地の変化 変わらない(跡地) 変わらない(10年同じ場所) 裏通りから駅近・通学路沿いへ移動
顧客との関係 先代の顧客を引き継ぎつつ新規開拓 常連客との深い関係性 既存ファンを維持しつつ新しい通行客層を開拓
「隠れ家」から「見つけてもらう場所」への移転は、ファン層を広げるための大きな決断です。
PIZZERIA Sassyは、裏綱島という知る人だけが通う場所で実力とファンを育て、キッチンカーという身軽な形態でリスクを抑えながら実績を積んだ上で、通学路沿いという開けた立地へ固定店舗として移転しました。この段階的な進化のプロセスに、堅実さと挑戦の両方が表れています。
立地分析:綱島は「ファミリー層の厚み」が際立つ地域密着型商圏

店舗立地研究所が整理した綱島駅半径1km圏のデータでは、夜間人口49,282人、昼間人口30,077人、昼夜比0.61という数値が示されています。この昼夜比の低さは、昼間は就業・通学で外出する住民が多く、夕方以降・休日の地元消費が中心となる「昼間流出型の純住宅地商圏」であることを示しています。総世帯数は25,872世帯で、1人世帯比率は45.2%とやや高いものの、35〜49歳の働き盛りファミリー層が際立って厚く、0〜14歳の子育て世帯も多いという年齢構成が特徴です。高齢化率は15.6%と全国平均(28.0%)を大幅に下回り、極めて若い居住構造を持つエリアだと言えます。

綱島小学校前という立地は、まさにこの「ファミリー層の厚み」という商圏特性と正面から向き合う場所です。裏綱島にあった頃は、知る人だけが訪れる「わざわざ足を運ぶ店」でしたが、通学路沿いに移ったことで、毎日その前を通る子育て世帯の目に、自然と店の存在が入るようになりました。高所得世帯比率(年収700万円以上)は31.4%と神奈川県平均を上回る水準にあり、平日の夕方には家族での夕食用に、休日には気軽な贅沢として、ナポリピッツァを選んでもらえる余地は十分にあると考えられます。

綱島駅1km圏の指標 公開値 PIZZERIA Sassyへの読み替え
ファミリー層の厚み 35〜49歳が各年代4,300人前後、0〜14歳も6,678人 子育て世帯の夕食需要・週末のちょっとした贅沢需要が見込めます。
高齢化率 15.6%(全国28.0%を大幅に下回る) 若い世代中心の商圏で、ピザという業態への抵抗感が少ないと考えられます。
高所得世帯比率 31.4%(年収700万円以上) 本格ナポリピッツァという専門性の高い価格帯を受け入れやすい購買力があります。
昼夜人口比 0.61(昼間流出型の住宅地商圏) 平日夕方・休日の地元利用が中心となる、夕方以降営業のお店に適した構造です。
飲食店数 209店舗 ナポリピッツァ専門という軸を持つ店は限られ、専門特化の優位性が働きます。

※駅別数値は国勢調査・経済センサス等を基礎として店舗立地研究所が整理した半径1km圏の公開値です。統計項目により基準年が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。

常識破りに見えて、実はよく考えられている経営判断
「隠れ家」を守り続けるのではなく、思い切って移転する選択

裏綱島という立地は、知る人だけが集まる特別感がある一方で、新規客との出会いが限られるという課題も抱えていました。あえてその隠れ家的な魅力を手放し、通学路沿いという開けた場所へ移転する判断は、短期的には常連客の足が遠のくリスクもありますが、中長期的にはファン層を大きく広げる可能性を持った決断だと考えられます。

キッチンカーで終わらせず、固定店舗へ投資する判断

キッチンカーは初期投資を抑えられる分、営業日や営業時間の柔軟性には限界があります。令和元年から積み上げてきた実績を土台に、固定店舗という腰を据えた形態へ投資したことは、地域に根付く店として長く営業を続けていく意志の表れだと見ることができます。

値上げの理由を正直に伝えるコミュニケーション

公式Xで「物価高騰のため、心苦しいですが価格変更いたします」と率直に案内する姿勢は、単に価格を上げるだけでなく、なぜ上げるのかを丁寧に伝えることで、常連客との信頼関係を維持しようとする工夫だと考えられます。

さらに広がりそうな3つの顧客層

ここからは、店舗の現在の顧客構成や実施状況を確認したものではなく、公開情報と商圏特性から考えられる今後の可能性です。すでに実施されている取組が含まれる可能性があります。

1.通学路沿いという立地を活かした子育て世帯への案内

綱島小学校前という立地の厚みを踏まえると、お迎え帰りの保護者が気軽にテイクアウトできるような案内を強化することで、平日夕方の需要をさらに取り込める余地がありそうです。

2.裏綱島時代からのファンへの再訪案内

裏綱島時代から通っていたファンの中には、移転を知らずに足が遠のいている方もいるかもしれません。移転後の店舗の様子を改めて発信することで、旧来のファンの再訪を後押しできる余地がありそうです。

3.イートインでのビール・ワインとの組み合わせ提案

本格ナポリピッツァと相性の良いビールやワインの提案を強化することで、平日夜や休日の食事需要をさらに取り込める余地がありそうです。

もっと認知を広げるなら考えられること
「裏綱島から移転してきた実力店」というストーリーを伝える

令和元年からキッチンカーとして地域に根付き、実力を磨いてきたという経緯は、単なる新規開店以上の説得力を持つストーリーです。この歴史をより積極的に発信することで、「移転を機に新しく知った」という層にも、店の背景にある積み重ねを伝えられそうです。

「綱島小学校前」という分かりやすい目印を活用する

「綱島小学校の正門横」という立地は、地元の人にとって非常に分かりやすい目印です。この分かりやすさを活かした案内を発信することで、道に不安を感じる新規客の来店ハードルを下げられそうです。

店舗経営の視点:固定店舗化・移転にあたる資金計画も検討余地

原材料費、人件費、賃借コストが上昇するなか、キッチンカーから固定店舗への移行や移転を伴う小規模店舗の運営においても、事業計画の整備や販路開拓、省力化への投資は有効な選択肢です。以下はPIZZERIA Sassyが現在必要としている、または各制度を利用できると判断したものではありません。同様の業態転換・移転を検討する事業者にとっての一般的な選択肢です。

固定店舗化・移転資金の調達支援

キッチンカーから固定店舗への移行は、内装・厨房設備等の投資が新たに発生します。日本政策金融公庫等の創業・第二創業融資や自治体の支援施策の要件を確認する価値があります。

販路開拓・情報発信

移転を知らないファンへの再訪案内や、新しい顧客層への発信強化などは、事業計画と公募要件に合えば、小規模事業者持続化補助金等の検討対象になる場合があります。

窯・調理機器等の設備投資

固定店舗化に伴うピッツァ窯や調理機器の導入は、必要に応じて省力化・設備投資系の補助金の検討対象になり得ます。

補助金は「使えるものを探す」より、必要な投資から逆算する

補助金は、採択や交付決定が約束されるものではなく、申請前に契約・発注・支払いをすると対象外になる制度もあります。まず事業の課題と必要な投資を整理し、その後に対象制度、公募期間、補助対象経費を確認する順番が重要です。

2026年7月時点では、小規模事業者の販路開拓等を支援する小規模事業者持続化補助金、創業予定者・創業間もない事業者を支援する各自治体の創業支援施策、ITツールの導入費用の一部を支援するデジタル化・AI導入補助金2026などがあります。募集期間、予算残額、対象経費などは変わるため、必ず申請時点の公式情報を確認する必要があります。

【街の店舗分析まとめ】

PIZZERIA Sassyの面白さは、本格ナポリピッツァそのものだけではありません。令和元年からキッチンカーで実力を磨き、裏綱島という隠れ家的な立地でファンを育て、そして2025年10月、綱島小学校前という開けた場所へ固定店舗として移転したという、段階的な進化のストーリーそのものに、このお店の独自性が詰まっています。跡地を引き継いだ「Kayagi」や10年続く老舗「NINE」とは異なり、Sassyは自分自身の業態と立地を変えながら、次のファン層へと手を伸ばしています。

綱島は、35〜49歳の働き盛りファミリー層が際立って厚く、高齢化率も低い、極めて若い居住構造を持つエリアです。通学路沿いという立地は、この商圏の主役である子育て世帯と、毎日自然に出会える場所であり、Sassyの本格ナポリピッツァと非常に相性が良いと考えられます。

実は、移転前の裏綱島時代に、家族でこちらのピザをいただいたことがあります。生地の香りとチーズの伸び、あの日の美味しさは今でも覚えていて、懐かしさとともに思い出します。今度は綱島小学校前という新しい場所で、あの時と同じマルゲリータを、また家族で味わいに行きたいと思っています。もし取材の機会をいただけましたら、キッチンカー時代からの歩みや、移転を決めた経緯について直接お伺いし、改めて記事としてお届けできればと思っております。

地域のお店を、商圏データと一緒に紹介します

店舗立地研究所では、飲食店、美容サロン、整体・リラクゼーション、パーソナルジムなど、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。

掲載・取材をご希望の店舗様は、公式LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。店舗の出店・移転・商圏分析、事業計画、資金調達、補助金活用、集客、省力化のご相談についても対応しております。

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出典・確認資料

執筆・分析:太田 満/編集:店舗立地研究所編集部

本記事は店舗の優劣や経営状態を格付けするものではありません。公開情報と商圏データを用いて、地域店舗の魅力と立地・店舗経営上の可能性を独自に考察したものです。売上、利益、実際の顧客構成等を推定・保証するものではありません。

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この記事を書いた人

太田 満のアバター 太田 満 店舗立地研究所及び合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ代表

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ 代表社員
店舗立地研究所 代表

株式会社みずほ銀行にて16年間、数百社の中小企業オーナー・個人事業主の渉外・融資審査・経営相談業務に従事。
2021年独立後は創業支援・店舗出店支援を多数手がける現役コンサルティング会社代表。

専門は店舗事業の商圏(エリア)分析。2,000以上のエリア分析を実施し、「負けない店舗経営」「失敗しないフランチャイズ選び」を支援中。

資格:中小企業診断士・宅地建物取引士・フランチャイズオーガナイザーのほか、賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・不動産証券化マスター・M&Aシニアエキスパートなどの資格も保有。

第19回(2026年4月30日締切)小規模事業者持続化補助金の申請者に対して、KLA(KDDI Location Analyzer)を用いた自社商圏分析サポートを実施。

その他、税理士事務所様などと共催の補助金セミナーなども行っており、店舗立地や補助金などのセミナー依頼も、公式LINEからお気軽にお問い合わせくださいませ。

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