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綱島「ミミパレ」は、なぜ冬でもかき氷で勝負するのか|綱島街道沿いのかき氷専門店を通年営業戦略から分析

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街の店舗分析|シリーズ第11回・季節商材×通年戦略編

綱島「ミミパレ」は、なぜ冬でもかき氷で勝負するのか
綱島街道沿いのかき氷専門店を通年営業戦略から分析

綱島駅・新綱島駅から徒歩1分。綱島街道と新綱島駅前交差点が交わる場所に立つ中山ビルの2階に、2025年5月にオープンしたかき氷とスイーツの専門店「mimi palais(ミミパレ)」があります。かき氷といえば「夏だけの商売」というイメージが強い商材ですが、この店は開業から1年以上、火曜定休以外は年間を通して営業を続けています。なぜ、季節性の強い商材を扱いながら、綱島東という住宅地エリアで通年営業が成立しているのか。店舗立地研究所が、公開情報と商圏データから独自に分析します。

2025年5月11日オープン
綱島街道沿い・新綱島駅前の2階店舗
火曜定休以外は年間営業を継続
季節限定×通年メニューの併存
公開情報による独自分析
「街の店舗分析」とは

店舗立地研究所が、地域で気になるお店を独自に取り上げ、その店舗ならではの魅力や工夫を深掘りするとともに、商圏特性、店舗立地、顧客層、利用動機などの観点から分析するシリーズです。単なるグルメ・ショップ紹介や店舗の格付けではなく、実在するお店を通じて、「なぜこの場所で、この業態が支持されるのか」を考えます。

公開情報をもとにした分析では、確認できた事実と店舗立地研究所による考察・提案を区別して掲載します。店舗への取材が実現した場合は、オーナーの声や現地で確認した情報を加えた「リアル店舗レポート」として、さらに詳しくご紹介します。

先に結論:ミミパレの通年営業が成立しているのは、「かき氷を季節商材から嗜好品に変換した」からだと考えられます。

かき氷は本来、夏にしか売れない商材です。しかしミミパレは、味やビジュアルを毎月アップデートする「季節限定メニュー」と、年間を通して支持される「定番メニュー」を両立させることで、来店動機を「暑いから食べる」から「今月の新作を見に行く」へと転換させています。これは全国的にも進んでいる「かき氷の通年化」というトレンドの、綱島における実践例と位置づけられます。

ミミパレはどんなお店?

「mimi palais(ミミパレ)」は、2025年4月30日にプレオープン、5月11日に本オープンした、かき氷とスイーツの専門店です。店舗は、綱島駅・新綱島駅の中間に位置する綱島街道沿いの交差点近く、中山ビルの2階にあります。1階が店舗の入口となっており、来店客は入口でスリッパに履き替えて2階に上がる、独特の入店スタイルを採用しています。地域ブログ「ツナシマニア」の現地レポートによれば、入口の印象とは対照的に、店内は白やピンクを基調としたパステルカラーの空間になっており、ベビーカーの収納スペースやセルフサービスの温かい飲み物も用意されているなど、子連れ客への配慮も見られます。

オーナー兼店長のゆかりさんは、年間300杯のかき氷を食べ歩くという、いわば「かき氷フリーク」であり、はるかさんとともに店を切り盛りしています。メニューは、サイズ(R/M)、氷のベース、トッピングを自由に組み合わせられるカスタマイズ制を採用し、月替わりで登場する季節限定フレーバーと、年間を通じて提供される定番フレーバー(かぼcha等)を併存させる構成になっています。2026年には公式キャラクター「ミミ」と「パレ」(うさぎ)も誕生し、SNSを軸にしたファンづくりが継続的に行われています。

店舗名
mimi palais(ミミパレ)
業態
かき氷・スイーツ専門店
所在地
神奈川県横浜市港北区綱島東1-7-17 中山ビル2F
アクセス
綱島駅・新綱島駅から徒歩1分(綱島駅から約80m)
開業日
2025年4月30日プレオープン、5月11日本オープン
営業時間
11:00〜19:00(L.O.18:30)
定休日
火曜日(変更はInstagramで告知)
予約
Instagram DMにて予約優先
客単価
¥1,000〜¥1,999程度
公式情報
公式Instagram(@mimipalais)
「かき氷は夏だけ」という常識に、なぜ挑めたのか

かき氷業界では、通年営業という選択そのものが、決して当たり前のものではありません。神奈川県鵠沼海岸の老舗「埜庵(のあん)」が2003年に通年営業のかき氷専門店を開業した際も、冬場は売り上げがゼロになる日があったと伝えられています。それでも埜庵は、天然氷と旬のシロップにこだわり続けることで、冬でも全国からファンが集まる「ノアラー」という熱狂的な顧客層を作り上げ、かき氷の通年営業というビジネスモデルを確立しました。近年では、この流れを受けて東京や大阪でも通年営業の専門店が増え、「第三次かき氷ブーム」とも呼ばれる状況が生まれています。訪日外国人からの人気の高まりも、この市場拡大を後押ししている要因の一つとされています。

ミミパレも、この大きな流れの中に位置づけられる店だと考えられます。ポイントは、メニュー構成を「季節限定」と「通年定番」の二階建てにしていることです。5月であれば「桜いちご」のような期間限定フレーバーを楽しめる一方、かぼchaのような通年メニューも用意されており、来店客は季節によって変わる「新作」を追いかけつつ、いつ訪れても楽しめる「定番」に安心して戻ってくることができます。この構造は、埜庵が確立した「シロップやフレーバーを更新し続けることで、リピーターを飽きさせない」という通年営業のセオリーと、方向性が非常に近いものです。

もう一点、注目すべき事実があります。
公式Instagramのプロフィールには「現在はかき氷のみのご提供です」という一文が記載されています。この表現からは、開業当初はかき氷以外のスイーツやドリンクも提供していた可能性がうかがえ、運営の中でメニューをかき氷一本に絞り込んでいった経緯があったのではないかと考えられます。もしこの読み取りが正しければ、これは「多角化してリスクを分散する」のではなく、逆に「専門性を絞り込むことで、通年営業のオペレーションを持続可能にする」という判断だったと見ることができます。ワンオペやごく少人数体制で切り盛りする小規模店にとって、メニューの絞り込みは、季節による需要変動を乗り越えるための現実的な選択肢の一つです。
通年営業を支える要素 ミミパレでの実践(公開情報ベース)
フレーバーの定期更新 月替わりの季節限定メニュー(例:5月は桜いちご)
定番の維持 かぼcha等、通年提供される定番フレーバー
ファンコミュニティ形成 公式キャラクター「ミミ」「パレ」、Instagramでの発信
顧客参加型の企画 1周年記念の人気メニュー投票キャンペーン、復活メニューの提供
メニューの絞り込み 現在はかき氷提供に特化(公式プロフィールの記載より)
立地分析:綱島街道沿い×住宅地商圏での「目的来店型」業態の適性

店舗立地研究所が整理した綱島駅1km圏のデータでは、夜間人口49,282人に対し昼間人口30,077人、昼夜比は約0.61と、典型的な「昼間流出型の住宅地商圏」であることが分かっています。総世帯数25,872世帯のうち、1〜2人世帯が71.1%を占め、高所得世帯比率(年収700万円以上)は31.4%と、全国平均の約1.6倍に達しています。新綱島駅の開業や周辺再開発によって、この商圏はここ数年で通行量・商業ポテンシャルの両面で変化が進んでいるエリアでもあります。

かき氷専門店は、日常的な「ついで来店」を集める業態というよりも、SNSでの発信を見て「わざわざ足を運ぶ」目的来店型の業態です。ミミパレが綱島街道沿い、かつ2つの駅(綱島駅・新綱島駅)の中間という、駅からのアクセスが良い場所に立地していることは、この目的来店型の需要を取り込むうえで有利な条件だと考えられます。特に新綱島駅は東急新横浜線の開業によって新横浜方面からのアクセスも改善されており、K-アリーナ横浜や横浜アリーナでのイベント帰りに立ち寄る「推し活」需要を取り込める可能性も、地理的には十分にあります。

綱島駅1km圏の指標 公開値 ミミパレへの読み替え
昼夜比 約0.61(昼間流出型) 平日日中の通行需要よりも、休日・SNS発信を見た目的来店の比重が大きい業態と相性が良いです。
1〜2人世帯比率 71.1% インスタ映えを目的とした単身・カップル層の来店を取り込みやすい構造です。
高所得世帯比率 31.4%(年収700万円以上) 客単価1,000円台のかき氷でも、無理なく受け入れられる購買力を持つ商圏です。
新綱島駅の存在 東急新横浜線が接続 新横浜・K-アリーナ横浜方面からの「イベント帰り」需要を取り込める地理的条件です。

※駅別数値は2020年国勢調査、2015年国勢調査、経済センサス等を基礎として店舗立地研究所が整理した半径1km圏の公開値です。統計項目により基準年が異なり、店舗の実際の来店客数や売上を示すものではありません。

さらに広がりそうな3つの顧客層

ここからは、店舗の現在の顧客構成や実施状況を確認したものではなく、公開情報と商圏特性から考えられる今後の可能性です。すでに実施されている取組が含まれる可能性があります。

1.新綱島駅発の「イベント帰り」の推し活層

新綱島駅は東急新横浜線を介して新横浜方面と直結しており、K-アリーナ横浜や横浜アリーナでのライブ・イベント帰りに立ち寄る客層を取り込める地理的条件があります。カラーオーダーに対応したドリンクのような「推し活映え」する商品性は、この層との相性が良いと考えられます。

2.冬場の「あえて食べに行く」目的来店層

かき氷の通年営業は、埜庵のようにファン化に成功すれば「冬だからこそ食べたい」という需要を掘り起こせる可能性を持っています。月替わりの限定フレーバーをSNSで発信し続けることで、寒い時期でも「新作を見に行く」動機を作り出せそうです。

3.子育て世帯の「ちょっと特別な外出先」

ベビーカー収納やスリッパでの入店スタイルなど、子連れへの配慮がすでに見られる店舗設計になっています。綱島東はファミリー層の厚みが際立つエリアであるだけに、日常のカフェとは違う「特別なおやつの日」として、子育て世帯のリピート利用を伸ばせる余地があります。

もっと通年営業を強化するなら考えられること
冬季限定フレーバーの明確な打ち出し

季節限定メニューが主に春夏に集中している印象があるため、秋冬向けの限定フレーバー(温かいトッピングとの組み合わせなど)を明確に打ち出すことで、「冬でも新作がある店」という認知を強められる可能性があります。

1周年企画のような顧客参加型施策の定例化

人気メニュー投票や復活メニューといった顧客参加型の企画は、埜庵の「ノアラー」のような熱心なファンを育てる上で効果的な手法です。これを季節ごとの定例企画として継続することで、通年でのリピート動機を作り出せそうです。

店舗経営の視点:季節商材の通年化を支える制度も検討余地

原材料費・人件費が上昇するなか、季節商材を扱う店舗が通年営業へ移行する際には、資金面や省力化を支える制度が有効な選択肢になります。以下はミミパレが現在必要としている、または各制度を利用できると判断したものではありません。同様の季節商材×通年戦略を検討する事業者が参考にできる、一般的な選択肢です。

商品開発・広報費の支援

季節による売上変動を平準化するための商品開発費や広報費について、事業計画に応じて小規模事業者持続化補助金等の対象となる場合があります。

省力化のための機器導入

ワンオペや少人数体制で通年営業を続ける店舗が、業務効率化のための機器導入を行う場合、省力化投資補助金等の対象になる場合があります。

キャッシュレス決済の導入支援

カード・電子マネー・QRコード決済など多様な決済手段の導入について、各種補助制度の対象となる場合があります。

補助金は「使えるものを探す」より、必要な投資から逆算する

補助金は、採択や交付決定が約束されるものではなく、申請前に契約・発注・支払いをすると対象外になる制度もあります。まず事業の課題と必要な投資を整理し、その後に対象制度、公募期間、補助対象経費を確認する順番が重要です。

2026年7月時点では、小規模事業者の販路開拓等を支援する小規模事業者持続化補助金などがあります。募集期間、予算残額、対象経費などは変わるため、必ず申請時点の公式情報を確認する必要があります。

【街の店舗分析まとめ】

ミミパレの通年営業が示しているのは、季節商材であっても「季節限定メニューと定番メニューを両立させる」ことで、来店動機を「気候」から「新作への期待」へと転換できるという事例です。綱島街道沿い・二駅アクセスという立地条件を活かしながら、かき氷という難易度の高い商材で1年以上の通年営業を継続してきたことは、それ自体が地域における一つの実験的な挑戦だといえます。今後、冬季メニューの打ち出し方や顧客参加型企画の定例化によって、さらに「通年営業のかき氷店」としての強みを伸ばしていける可能性がありそうです。

これまで取り上げてきた店舗の多くは「立地」や「業態転換」という視点でしたが、ミミパレは「季節性の強い商材を、いかにして年間商品に変えるか」という、これまでにない切り口を示してくれました。もし取材の機会をいただけましたら、オーナーのゆかりさんに、なぜかき氷提供に絞り込んだのか、冬場の集客をどう作ってきたのか、直接お話を伺い、改めて記事としてお届けできればと思っております。

地域のお店を、商圏データと一緒に紹介します

店舗立地研究所では、飲食店、美容サロン、整体・リラクゼーション、パーソナルジム、小売店など、地域で営業する店舗の魅力を、立地・商圏・顧客層の視点から紹介しています。

掲載・取材をご希望の店舗様は、公式LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。店舗の出店・移転・商圏分析、事業計画、資金調達、補助金活用、集客、省力化のご相談についても対応しております。

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出典・確認資料

執筆・分析:太田 満/編集:店舗立地研究所編集部

本記事は店舗の優劣や経営状態を格付けするものではありません。公開情報と商圏データを用いて、地域店舗の魅力と立地・店舗経営上の可能性を独自に考察したものです。売上、利益、実際の顧客構成等を推定・保証するものではありません。

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この記事を書いた人

太田 満のアバター 太田 満 店舗立地研究所及び合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ代表

合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ 代表社員
店舗立地研究所 代表

株式会社みずほ銀行にて16年間、数百社の中小企業オーナー・個人事業主の渉外・融資審査・経営相談業務に従事。
2021年独立後は創業支援・店舗出店支援を多数手がける現役コンサルティング会社代表。

専門は店舗事業の商圏(エリア)分析。2,000以上のエリア分析を実施し、「負けない店舗経営」「失敗しないフランチャイズ選び」を支援中。

資格:中小企業診断士・宅地建物取引士・フランチャイズオーガナイザーのほか、賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・不動産証券化マスター・M&Aシニアエキスパートなどの資格も保有。

第19回(2026年4月30日締切)小規模事業者持続化補助金の申請者に対して、KLA(KDDI Location Analyzer)を用いた自社商圏分析サポートを実施。

その他、税理士事務所様などと共催の補助金セミナーなども行っており、店舗立地や補助金などのセミナー依頼も、公式LINEからお気軽にお問い合わせくださいませ。

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